他業界と比較して有効求人倍率が高めの介護業界。介護職は引く手あまたといっても過言ではないものの、必ず採用が決まるわけではありません。
特に勤務条件のいい施設の場合、やはりそれなりに競争率は高くなるものです。より条件のいい転職を叶えるためにも、書類選考を通りやすい職務経歴書作成のポイントをおさえておきましょう。
目次
【1】履歴書だけじゃだめ?職務経歴書が必要な理由
【2】履歴書と職務経歴書の違いって?
【3】職務経歴書は大きく分けて2種類。経験に応じて形式を選ぼう
【4】【編年体式】職務経歴書作成のポイント
【5】【キャリア式】職務経歴書作成のポイント
【6】職務経歴書を作成しながら自分の経歴を見つめなおしてみよう
履歴書だけじゃだめ?職務経歴書が必要な理由
転職活動をしたことがない方にとっては、あまりなじみのない「職務経歴書」。履歴書にも“経歴”欄があるのに、なぜ別に書類を用意しなければならないのか疑問に感じる方もいるかもしれません。ですが、履歴書と職務経歴書では作成の目的がまったく異なります。
履歴書と職務経歴書の違いって?
履歴書は、自分の住所や学歴・職歴、所有資格といった基本情報を先方に伝えるためのツールです。一方で職務経歴書は、これまでどのような仕事に携わり、どのようなスキルを身につけてきたかアピールすることができる、いわば自己プレゼンテーション資料のようなもの。職歴だけを羅列する履歴書とは目的が異なります。
経験者採用の場合は職務経歴書が選考通過のカギに
職務経歴書はその名のとおり、これまで就いた職務に関する経歴を記入するもの。特に経験者を募集している施設の場合、どのような経験を持っているのかを重要視する傾向があるため、職務経歴書が書類選考通過のカギになるといっても過言ではありません。
一方で、初心者歓迎という求人の場合は、経歴を問わず採用を検討するため「職務経歴書の提出を求めない」というケースもあります。
職務経歴書は面接時の質問内容にも影響
書類選考を通過するために作成する職務経歴書ですが、面接選考に進んだ場合にも職務経歴書に基づいた内容で面接が行われることが少なくありません。
職務経歴書に書かれた経歴や経験に関する質問が行われるケースがほとんどですので、かみ合わない回答をしてしまわないよう、作成した職務経歴書は提出前にコピーを取り、どんな質問を投げかけられてもスムーズに回答できるようしっかりと頭に入れておくことが大切です。
職務経歴書は大きく分けて2種類。経験に応じて形式を選ぼう
職務経歴書の書式は自由ですが、時系列別にまとめた「編年体式」か、経験や業務別にまとめる「キャリア式」のいずれかの形式で作成するのが一般的です。
経験が少ない方や他業種からの転職者は「編年体式」を
経歴を時系列でまとめた「編年体式」の職務経歴書は、まだ介護業界での職務実績が少ない方や、はじめての転職活動の方、他業種からの転職者におすすめの形式です。時系列別に書くため見やすいというメリットがある一方で、アピールしたいポイントを強調しにくいというデメリットもあります。必要に応じて太字や下線を使って強調することが大切です。
キャリアアップの実績がある方は「キャリア式」にチャレンジ
一般の介護職員だけでなく、チーム長や施設長経験のある方や、ホームヘルパー(介護職員初任者研修・実務者研修)→介護福祉士→ケアマネジャーとスキルアップしてきた方の場合は、ぜひそのキャリアを活かした「キャリア式」での職務経歴書作成がおすすめです。時系列にそって書く編年体式とは異なり、経験のある職種・資格をベースに作成するため、スキルをアピールしやすいというメリットがあります。
【編年体式】職務経歴書作成のポイント
時系列別に記入をする編年体式の職務経歴書。遡って整理しながら書いていくので作成はそう難しくありませんが、ただ経歴を書き連ねた羅列になってしまわないよう注意が必要です。経歴の羅列にならない編年体式の職務経歴書の書き方をマスターしましょう。
まずは「職務要約」から書き出そう
職務経歴書に特に決まった書式はありませんが、いきなり経歴から書き出すのではなく、まずは「職務要約」から書き出すとスムーズです。
職務要約とは、これまでの経歴を簡潔にまとめた、いわば職務経験のあらすじのようなもの。
どのような法人(施設)でどのぐらいの期間、どのような業務に携わったのか、またそこでどのような経験を得たのか…といったかたちでざっくりとまとめます。
職務要約を補足する「職務詳細」を書いていこう
職務要約で「どのような経験を持った人物なのか」を伝えたら、それを補足するような詳細を書いていきます。
職務詳細で必ず書いておきたい情報は、「勤務先」「勤務期間」「雇用形態」「職種」「職務内容」の5つです。
勤務先には「法人名」「施設名」「配属された部署(あれば)」を書きます。また、配属された施設の規模なども記入しておくとよりわかりやすくなります。
勤務期間は年月まで記入し、具体的な日付(入退職日)は不要です。
職務内容では、具体的にどのような業務を行っていたかを書いていきます。このとき「どんな職務を経験したか」だけではなく、「在職中にどんなことを経験し、どう成長したか」がわかる具体的なエピソードをいれるとベターです。
在職中に職務に活かせる資格を取得した場合も「レクリエーション介護士の資格を自主的に取得し、入居者の方々に心から楽しんでもらえるよう提案を行いました」といった一文があれば、向上心の強さをアピールすることができますね。
「保有資格」はアピールしたいものから順に書く
履歴書にも資格記入欄はありますが、職務経歴書にも改めて保有資格を書いておくのが一般的です。資格は介護関連資格や、職務内容に関連しそうな資格を優先して明記しますが、ケアマネジャーや介護福祉士といった転職に有利になる資格を優先して上位に書くようにします。また、資格は取得した年月も書いておきましょう。
最後に「自己PR」で自身の魅力を伝えよう
自己PRを書いておく目的は、ずばり「採用されたらどのように活躍できるか」提案すること。ただ「明るい性格です」だけでは、どのように活躍してくれるかどうかのビジョンが見えません。「持ち前の明るい性格を活かし、入居者の方一人ひとりと前向きな姿勢で向き合っていく介護を目指しています」と書けば、ネガティブなシチュエーションにも打たれ強い人物であるというアピールができますね。
【キャリア式】職務経歴書作成のポイント
職務内容や保有資格にそって記入するキャリア式の職務経歴書。時系列別にまとめる編年式の職務経歴書と記入する項目に差はなく、「職務要約」「職務詳細」「保有資格」「自己PR」を明記しますが、職務詳細のまとめ方に違いがあります。
「職務詳細」は職種もしくは資格でまとめよう
キャリア式の職務経歴書の場合、職務詳細は時系列ではなく希望する職種に関連するものから順に書いていきます。施設介護の経歴と訪問介護の経歴を持っている方がグループホームへの転職を希望している場合であれば、より職務の近い施設介護の経歴から書くのがベターです。経歴ごとの時系列でまとめます。
職務経歴書を作成しながら自分の経歴を見つめなおしてみよう
職務経歴書は書類選考の命運を分ける重要な自己アピールツール。履歴書よりも自由度が高い分「何を書けばいいかわからない…」ととまどってしまいがちですが、ていねいに作成することが大切です。
また、職務経歴書作成は、自分のキャリアを振り返る大切な機会でもあります。どのような気持ちで職務に就いていたのか思い返しながら、改めて自分のキャリアについて考え、転職活動への気持ちをしっかりと固めていくことが大切です。