介護の業界も時代のニーズに合わせて資格の内容や名称が変化しています。「実務者研修」や「介護職員初任者研修」のもととなったホームヘルパー1級、2級を知っておきましょう。
目次
【1】ホームヘルパー1級・2級が廃止になった理由
【2】わかりやすくなった資格取得フローでキャリアアップを目指そう
介護の仕事に長く携わっている方にとってはとても身近な「ヘルパー」と呼ばれる資格。ヘルパーは正式名称を「ホームヘルパー」といい、介護の実務に携わるために実質必須とされていた資格ですが、2013年3月末(2012年度末)をもって廃止され、「実務者研修」や「介護職員初任者研修」に引き継がれています。
いったいなぜ資格の改正が行われたのでしょうか。紐解いていきましょう。
ホームヘルパー1級・2級が廃止になった理由
2013年3月で廃止されたホームヘルパー1級・2級資格。2013年4月からは、ホームヘルパー1級にかわる研修制度として「介護職員実務者研修」が、ホームヘルパー2級にかわる研修制度として「介護職員初任者研修」が登場しました。いったいなぜでしょうか。
介護の質を安定させる必要があったため
介護を専門とする資格のうち、唯一の国家資格である「介護福祉士」。2013年以前は、現場経験さえあれば受験資格を得られていたため、「介護福祉士として水準を満たせるほどの介護知識や技術を持っているとはいえないのでは?」という批判が相次いで起こっていました。そこで政府は、介護職員の質の向上をはかるため、実務経験ルートで介護福祉士を目指す方に向けて研修制度の整備を行いました。
これがヘルパー資格の代わりに登場した「介護職員初任者研修」とです。
キャリアパスをわかりやすく一本化するため「実務者研修」
かつて介護資格は、介護福祉士のほか、ホームヘルパー1級・2級、介護職員基礎研修…と分かれていました。ホームヘルパー資格は、その名の通り「在宅介護」に特化した資格。介護職員基礎研修は、ホームヘルパー資格の上位となる研修制度として都道府県が事業者を指定して行っていたものです。これらは異なる資格や研修でありながら、すでに取得している資格と研修内容が重複してしまう…など、効率の悪さが指摘されていました。
「初任者研修」→「実務者研修」→「介護福祉士」と、シンプルにキャリアアップできる仕組みをつくることにより、次に何の資格を取得すればいいかが明確になりました。また、今後は介護福祉士の上位資格として「認定介護福祉士(仮称)」の設置も検討されています。
ホームヘルパー2級は「介護職員初任者研修」へ
訪問介護をはじめる方の初歩的な資格としてなじみ深かったホームヘルパー2級は2013年3月で廃止となり、「介護職員初任者研修」という研修制度が登場しました。ヘルパー2級との大きな違いは、より技術に重点を置いたカリキュラムが組まれたことです。また、筆記試験も加わり、より深い知識の習得が求められるようになりました。
介護職員初任者研修の詳細はこちらをチェックしてみましょう。
ホームヘルパー1級は廃止。「実務者研修」が登場
ホームヘルパー1級資格、介護職員基礎研修は廃止となり、「実務者研修」という研修制度が登場しました。ホームヘルパーや介護職員基礎研修など、他の介護資格を取得している方の場合、過去に受講した研修内容の一部は免除されますが、新たに喀痰吸引等の研修(医療的ケア)が加わったため、介護福祉士の受験資格を得るには、旧ホームヘルパー1級資格を取得している方であっても実務者研修の受講が必要となります。
実務者研修の受講期間は約6ヵ月で、450時間の受講時間となっています。
実務者研修の詳細はこちらをチェックしてみましょう。
わかりやすくなった資格取得フローでキャリアアップを目指そう
キャリアアップのためのフローがわかりやすく整備されることとなった今回の改正。学びにかかる期間や受けるべき研修制度がわかりやすくなったため、実務経験から介護福祉士資格取得を目指す方の場合、目標を立てやすくなったのではないでしょうか。
介護施設にとって、介護職員の質はサービスの質に直結するといっても過言ではありません。介護の質の向上が求められる昨今、キャリアを積んだ介護職員のニーズはますます高まります。長く腰をすえて介護に携わるのであれば、ぜひ積極的にキャリアアップにチャレンジしていきましょう!