2026年1月の介護福祉士国家試験より導入される「パート合格」の制度は、2024年9月11日に厚生労働省の有識者会議で決定されました。
今後、新たに導入される制度のため、どんな制度なのか気になる人もいるのではないでしょうか。
ここでは「パート合格」とはそもそもどういった背景で導入されるのか。から、具体的な内容、メリットやデメリットについても解説させていただきます。
2026年の介護福祉士国家試験が始まる前に、内容を押さえておきましょう。
【 目 次 】
- そもそもパート合格とは何か
- 導入の背景
- パート合格の内容
- Aパート
- Bパート
- Cパート
- 再受験する際の注意点や受験料は?
- パート合格のメリットとデメリット
- パート合格のメリット
- パート合格のデメリット
- まとめ:今後の方向性
そもそもパート合格とは何か
「パート合格」とは、介護福祉士の国家試験を「3つ」のパートに区切り、それぞれのパート毎に合否を判定する制度となります。
大きな特徴として、「パート合格」の制度が導入される事で、各パート毎に合否が判定され不合格のパートがあった場合、次年度以降、再受験する際に、不合格パートのみの受験で大丈夫になった事が挙げられます。
従来の試験では全体を通して合否判定が行われ、不合格の場合は次年度以降、全て一から受験することになるため、受験のしやすさやハードルが下がる事が期待されています。
導入の背景
介護福祉士はここ数年で受験者数が減少傾向となっています。
2020年度から2022年度の間で1万人も受験者数が減少していました。
受験者数が減少してしまう原因としては、仕事と試験勉強の両立が難しい事が主な原因とされており、そうした負担を「パート合格」の制度を導入することで緩和する事が狙いの一つとなっています。
また介護士は現在、深刻な人手不足に陥っており、2040年迄に57万人が不足すると統計で報告されています。
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そうした状況の中、キャリア形成をしやすい環境づくりが重要となっており、今後の介護士の人員増加に対しても効果が見込まれます。
パート合格の内容
介護福祉士国家試験の中で「パート合格」の制度では、各試験科目自体は現行のものと変わらず、現在の13科目をA~Cの3つの内容にパート分けを行います。
<Aパート>
現行6科目:出題数60
- 人間の尊厳と自立
- 介護の基本
- 社会の理解
- 人間関係とコミュニケーション
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
<Bパート>
現行5科目:出題数45
- こころとからだのしくみ
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 医療的ケア
<Cパート>
現行2科目:出題数20
- 介護過程
- 総合問題
合格に必要な水準はパート毎に行い、これまで通り60%前後の得点を取る事と、全ての科目で0点がない事が基準になります。
再受験する際の注意点や受験料は?
介護福祉士の国家試験を受験し、残念ながら3つのパートのどこかで不合格となってしまった場合、不合格となったパートのみ次年度以降再受験をする必要があります。
注意点としては、「パート合格」には有効期限がある事です。
「2年後以内」に再受験をしなければ、「パート合格」の権利を失ってしまいます。
また、気になる受験料はパート毎に分割とはならず、介護福祉士の国家試験を受験する料金が満額(18,380円)がかかる予定です。
パート合格のメリットとデメリット
「パート合格」の良い面に多く触れてきましたが、改めてメリットとデメリットを確認していきたいと思います。
パート合格のメリット
- 各パート事に対策を行う事ができ、勉強の効率が上がる。
- 不合格が無駄にならず、受験者の負担軽減につながる。
こうしたメリットがある事で、仕事をしながら受験対策をする負担が軽減され、結果的に受験者が増えるという事が期待されます。
パート合格のデメリット
- 受験手続きや試験中の対応が煩雑になり、負担がかかる。
- パート毎ではなく、全体を通した理解が低くなってしまう。
こうしたデメリットについても、厚生労働省での検討会では議論の中で対策を取りまとめています。
まとめ:今後の方向性
厚生労働省では、今後介護士のキャリア形成について、これまでの「富士山型」キャリアモデルから、「山脈型」キャリアモデルに切り替えを図っています。
「山脈型」キャリアモデルとは、上る頂上が一つではなく、人によって様々なキャリアが描けるモデルです。
「パート合格」は、受験者の増加をさせる側面もありますが、こうした新しいキャリアモデルを実現させる取り組みの一つとしても注目されています。
今後、介護福祉士の国家試験を受験したいと検討している方は是非、参考にしてみてください。
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