生活支援員という職業を聞いたことがある方は多くいらっしゃっても、実際にどんな仕事内容なのかや、自分が向いているのか向いていないのか、実際に仕事をすることで大変なことなど、リアルな情報をお持ちの方はそんなに多くはないのではないでしょうか。
今回は生活支援員に興味をお持ちの方や、今後働いてみたい等と考えている方の疑問にお答えしたいと思います。
具体的な仕事内容や、ちょっとした疑問点も説明していきますので、是非ご興味をお持ちの方は参考にされてください。
【 目 次 】
- 生活支援員とは
- 生活支援員になるために資格は必要?
- 生活支援員の仕事内容
- 生活支援員の仕事内容
- 障害者施設で働く他の職種との違い
- 生活支援員と職業指導員の違い
- 生活支援員と世話人の違い
- 生活支援員と生活指導員の違い
- 生活支援員に向いている人と向いていない人の特徴
- 生活支援員に向いている人の特徴
- 生活支援員に向いていない人の特徴
- 生活支援員の仕事はきつい?それとも楽しい?
- 生活支援員の仕事がきつい理由
- 生活支援員の仕事が楽しい理由
- 生活支援員が働く施設とは
- グループホーム(共同生活援助)
- 就労継続支援(A・B型)事業所
- 就労移行支援事業所
- 生活支援員の給与
- 一日のスケジュール
- 生活支援員の今後の需要
- まとめ:生活支援員として働くには
生活支援員とは
生活支援員とは、障害福祉の通所や入居施設を利用する障害者の生活や就労を支援し、自立をサポートするお仕事です。
現在、生活支援員は6万3,195人(※厚生労働省「令和4年社会福祉施設等調査の概況」より)が活躍しており、障害者の身の回りのお世話や、ものを作るお手伝いや指導等、快適な生活ができるように支援します。
障害者の方やそのご家族と密接に関わり、社会問題に対応する仕事のため、非常にやりがいを持てるお仕事です。
しかし、障害者のサポートと聞くと、難しそうと感じる方もいるのではないでしょうか。
実際に資格は必要なのか、どんな経験がプラスになるのか見ていきましょう。
生活支援員になるために資格は必要?
結論から言うと、生活支援員になるために資格は必要ありません。
資格を持っていない無資格の方でもチャレンジできるお仕事になります。
ただ、公的な機関の障害者施設で働く場合には、社会福祉主事任用資格が必要になります。
その上で公務員の試験に合格する必要があるため、注意が必要です。
また介護職と似ている業務のため、介護系の資格との相性がいいとされています。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士など
上記の資格を取得することで、より知見を広げ様々な事に挑戦できるようになるでしょう。
では、具体的にどんなお仕事をするのでしょうか。
生活支援員の仕事内容
生活支援員のお仕事は、障害をお持ちの方に対し食事や入浴、排せつの介護を行う生活を支援する業務と、職業訓練や委託されたモノづくりの作業を指導、手伝ったりすることがメインになります。
また、仕事内容には他の職種や関係する期間との調整や連絡する業務もあります。
◆生活支援員の仕事内容
- 入浴、食事、排せつの介護
- 職業訓練の中で、農耕・工芸・織物等々…就労のためのサポート
- 各種関連機関との連絡や調整
- 生活全般に関しての相談業務
- 家事の手伝いなどの援助
- 入居施設の場合は夜勤業務
このように障害者の方やそのご家族に対して様々なサポートを行う仕事です。
◆障害者施設で働く他の職種との違い
障害者施設では様々な職種の方と共に働く機会があります。
生活支援員は上記の通り、障害をお持ちの方への介護業務や生活の支援、生活全般の相談業務や就労支援等々、様々な業務を行います。
ここでは間違えやすい職種との業務の違いを解説いたします。
生活支援員と職業指導員の違い
職業指導員とは、主な仕事内容として、障害をお持ちの方の就業や就労についてのサポート業務がメインになります。
就労に必要なスキル習得や生産をサポートしたり、就職先の開拓、面接対策や一般的なマナーのレクチャー等を行っていきます。
それに対して生活支援員は日常生活のサポート全般が主な仕事となり、一部業務が被るものの基本的には業務の性格が職業指導員とは違います。
また、どちらも無資格での業務が可能で、配置の基準も1名となります。
生活支援員と世話人の違い
世話人とは生活上での管理が必要なものを支援することがメインのお仕事です。
例えば金銭の管理や、健康の管理、生活の管理がサポートする主な内容になります。
それに対して生活支援員は介護業務など、身体介護を伴う業務を行います。
食事介護や入浴介護、排せつの介護があり、生活全般の支援を行う点が世話人との違いになります。
生活支援員と生活指導員の違い
生活指導員とは主に生活の指導をメインにしており、生活環境の改善を行います。
現場にいる様々なスタッフとの連携が必要とされ、利用者間との調整も行います。
生活支援員は直接的に障害者の方を支援し、日常生活の中で介護業務を通してサポートをします。
そうした業務の違いが生活支援員と生活指導員の違いとなります。
業務はそれぞれの施設形態や法人によっても変更がある場合はありますが、似ている業務もあるため、覚えておいてくださいね。
生活支援員は時に臨機応変な対応も求められるため、様々な事に対して配慮する必要があり、向いている人と向いていない人が一般的に言われています。
そうした特徴について見ていきましょう。
生活支援員に向いている人と向いていない人の特徴
生活支援員には向き不向きもあります。
障害者の方やそのご家族と密接に関わるため、活かしていける能力や、絶対にやっていけない事があります。
具体的にご自身に当てはまる部分があるか見てみてください。
◆生活支援員に向いている人の特徴
- 責任感が強い人
- 社会問題に取り組みたい人
- 力仕事に自信のある人
- コミュニケーションが好きで人の話を聞くのが好きな人
- 突発的な事態にも冷静でいられる人
◆生活支援員に向いていない人の特徴
- 責任感がない人
- 力仕事が身体的に難しい人
- 人とのお話で共感できない人
- 基本的な相談や報告ができない人
生活支援員は、障害者の方の声をしっかりと受け取る事が重要になります。
そのため、コミュニケーションの中でお相手に寄り添えることが特に重要になります。
障害者の方には、中にはしっかりと伝える事が苦手な方もいらっしゃるため、小さな機微も見逃さない洞察力も必要になるでしょう。
ただ、ご自身が向いていると判断できたとしても、実際に仕事をする中できついと感じる事や、逆に楽しいと感じる事も多くあります。
生活支援員のお仕事をさらに理解していきましょう。
生活支援員の仕事はきつい?それとも楽しい?
生活支援員に向いていたとしても、実際に働いてみるためには、働く中での大変なことや、やりがいも知っておくことが大事です。
生活支援員の仕事をする上でのきつい面や楽しい面は様々なものがあります。
具体的な内容を知っておくことで、理解を深めていきましょう。
◆生活支援員の仕事がきつい理由
- 体力仕事が多く夜勤があるため、肉体的疲労に加え労働時間も長い
- お給料が業務量と見合っていない
- 汚物を扱うことがあり、苦手な人もいる
このように、お仕事の内容に身体介護を行う仕事であるため、入浴や排せつ等の仕事を精神的に負担に感じる方もおり、また夜勤があるため体力的にも消耗する仕事と言えるでしょう。
また、夜勤等をやっている業務の内容に、お給料が見合わないと感じる方も中には一定数いるようです。
では逆に生活支援員を続ける理由や、やりがいはどんなところにあるのでしょうか。
◆生活支援員の仕事が楽しい理由
- 障害者の方やご家族とのコミュニケーション
- 社会課題に取り組み貢献できる
- スキルアップでき、ステップアップが可能
生活支援員はサポートする障害者の方やそのご家族からの感謝の言葉や、笑顔などモチベーションアップにつながる瞬間が多くあります。
また障害者の関わりの中で社会問題への取り組みができ、知見も広がる等自分自身の成長も実感できるでしょう。
その中で、長期的に働き役職に就くなどステップアップされる方も多く働いています。
このように、様々な要素が絡みますが、生活支援員の仕事は周りに感謝される機会も多い仕事になります。
それでは実際にどんな施設で働くことができるのでしょうか。
生活支援員が働く施設とは
生活支援員が活躍する職場は、障害者施設の中でも様々な施設形態が存在しています。
その中でも法的に生活支援員を配置しないといけない施設もあります。
生活支援員は基本的には以下のような施設で働くことができます。
グループホーム(共同生活援助)
グループホームは障害者の方が共同で生活する施設になります。
日常の中で介護サービスを提供する「介護サービス包括型」や、障害者の方がおひとりに近い形で生活する「サテライト型住居」、生活支援だけ行い介護サービスは外部を利用する「外部サービス利用型」、24時間ではなく日中だけ介護サービスを行う「日中活動支援型」と4つの種類に分かれています。
このうち「介護サービス包括型」「サテライト型」「日中活動支援型」で生活支援員は活躍できます。
就労継続支援(A・B型)事業所
障害者の方が自立できるように就業や就労のサポートをする施設です。
直接雇用契約を締結した上で生産の機会を提供し、スキルアップを図るのが「就労継続支援A型」。
雇用契約は締結せずに、生産の機会提供を行い、スキルアップを図ったうえで就労支援をするのが「就労継続支援B型」になります。
生活支援員は、障害者の方に健康管理や生活相談を行う事に加え、生産活動の支援も行います。
就労移行支援事業所
一般企業に就業するための支援や、定着に向けた相談などサポートを行います。
また就業するために必要なマナーやスキルの習得のサポートも行っています。
生活支援員は、障害者の方への健康管理のサポートや相談を行います。
このように様々な施設で活躍することが可能で、実際には配置基準はなくとも就業できる場所もあります。
では、生活支援員として働くとどの位のお給与がいただけるのでしょうか。
▼障害者施設の一覧をご確認されたい方はこちら。
生活支援員の給与
生活支援員の給与は平均すると、325,450円となります。
これは常勤の場合の平均となりますが、非常勤として働く場合の平均給与は、109,110円になります。
※厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」より
【 平均給与 】
- 常勤の平均給与 : 325,450円
- 非常勤の平均給与: 109,110円
これは平均的な福祉介護業界での職員と比べても高い水準とされています。
もちろん中には夜勤業務等もある施設があります。
また、具体的な給与はあくまでその施設や法人によって異なりますので、詳細は求人をしっかりと確認することを忘れないでください。
それでは一日のスケジュールはどういった流れになるのでしょうか。
一日のスケジュール
生活支援員は一般的には朝9:00 ~ 夕方17:00まで勤務することが多いです。
これはもちろん施設の形態や、働く施設によっても違うためあくまで一般的な例となります。
ここでは、入居施設での日勤帯の業務例をご案内させていただきます。
【スケジュール例】
・8:30 出勤・準備
・9:00 引継ぎを受け、居室のお掃除や整理、洗濯。また排せつ介護
・10:00 日中活動、散歩や創作、作業や余暇活動
・12:00 昼食 利用者さまと職員共に食事をとり食事介助
・14:00 日中活動 散歩や創作、作業や余暇活動
・16:00 入浴介護
・17:00 夜勤の方へ引継ぎを行い退勤
あくまで上記は一例ですので、詳細は各施設にお問い合わせください。
生活支援員の今後の需要
生活支援員は地域の障害福祉にとってなくてはならない存在です。
そのため、障害福祉の業界で働く上では今後も需要はあり続けるでしょう。
また、今後も障害者支援を拡大整備していく計画が政府でも取り組まれており、生活支援員として働くことで将来的なステップアップやキャリアアップも可能な環境と言えるでしょう。
まとめ:生活支援員として働くには
生活支援員として働くことがどういった仕事内容なのか、またどんなやりがいがあるかや就業先、給与やスケジュール例をご覧になっていただきました。
ここまで生活支援員について詳しく理解できていなかった方や、ご興味をお持ちの方も具体的に働き方が見えてきたのではないでしょうか。
今後、障害者施設で生活支援員として働きたいという方は是非チャレンジしていただきたいと思います。
その上で障害者福祉がより広がりを見せるような社会に進んでいくことを期待しています。
また実際に障害者施設の求人を見てみたいという方はこちらをご覧ください。
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