急速に進行する高齢化社会の中で、介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割がますます重要視されています。
しかし同時に高齢化も大きな問題になっています。
ケアマネジャーの平均年齢は約53.6歳以上となり、60歳以上が全体の約3割を占めていると2024年の最新データとして出ています。
この高齢化は今後のリタイアによる人材不足をさらに深刻化させる懸念があります。
また、4人に1人が60歳以上であり、人手不足が現場の大きな課題となっています。
ここではケアマネの高齢化について解説していきます。
目次
そもそもケアマネジャーとは
ケアマネ不足が深刻化している
さらに高齢化する現状での懸念
そもそもケアマネジャーとは
ケアマネジャーとはどのような役割なのでしょうか。
簡単に言うと、介護サービスを必要とする高齢者や障害者のケアプラン(介護サービス計画)を作成し、適切なサービスが提供されるように調整する専門職です。
2024年現在、日本のケアマネジャー(介護支援専門員)の人数は約75万人となります。
また、ケアマネジャーの仕事内容は大きく分けて以下の3つとなります。
1、ケアマネジメント
ご利用者さまのニーズに基づいて、必要なサービスや支援内容を盛り込んだケアプランを作成します。
2、介護保険の給付管理
国民健康保険団体連合会(国保連)に提出する「給付管理票」と呼ばれる書類作成を行います。
国保連に毎月1回給付管理票を提出し介護給付費を請求します。
3、要介護認定
介護保険制度を利用して介護や支援を受ける場合、要介護認定の申請が必要です。
ご利用者さまやそのご家族は手続きに慣れていないため、代行として要介護認定の申請を行ったり自治体から要介護認定調査の依頼を受けます。
要介護認定調査ではご利用者さまの自宅を訪問し、身体状況や環境のヒアリングを行います。
ヒアリングした結果をもとに、要介護認定の対象になるのかを判定し報告します。
ケアマネ不足が深刻化している
ケアマネジャーは2040年までに約8万人の増加が必要とされており、これは高齢化による介護ニーズの増加が背景です。
シミュレーションによると、1人あたりの担当件数が2025年には2万7千人、2040年には8万3千人の人材が不足するとされています。
人材確保や生産性向上が求められています。
■ケアマネが不足する理由
・5年に一度、都道府県が実施する資格の更新研修が必要だが、受講料や研修時間が負担になっている
・過剰なルールや増え続ける不要な書類作成、業務範囲の際限なき拡大など、ケアマネの職業としての魅力が失われている
・報酬が低く、介護職からキャリアダウンにつながる可能性がある
・国家資格に基づく実務経験や相談援助業務などの実務経験が5年以上ある場合にのみ受験できるルールになっているため、受験者数が減っている
・合格率が平均20%前後と低く、対策の時間が取れていない可能性がある
このような理由からケアマネ不足は今後もますます深刻化していくことが予想されています。
不足解消のためには国、自治体、法人・事業所がそれぞれの立場で課題意識を持ち相互の連携・役割分担など、構造的に捉えて検討・整理し、解決策を推進することが重要であると考えられています。
さらに高齢化する現状での懸念
■最新のケアマネを取り巻く現状
2024年7月のの介護労働実態調査によると、ケアマネジャーの平均年齢は53.6歳に達し、約30%が60歳以上です。
この傾向はここ数年ずっと続いており、高齢化が進む中で人材不足が懸念されています。
40歳未満のケアマネは7.6%に減少し、若手の参入が少ない状況です。
■ケアマネの高齢化での課題点
このように、ケアマネジャーのの高齢化は、日本の介護業界全体における大変深刻で重要な課題です。
課題点を洗い出しましょう。
・ケアマネの年齢構成: 多くのケアマネが高齢化しており、特に50代以上の割合が増加しています。このため、若手のケアマネが不足し、高齢者のケアを行う人材の育成が急務とされています。
・労働力不足:高齢化に伴い、ケアマネの退職や引退が増加していることで実際に多くの施設で介護サービスの提供に影響が出ていると言われています。
・業務の複雑化:高齢者のニーズが多様化し、複雑なケースが増えています。そのため、経験豊富なケアマネが必要ですが、高齢化によってできる業務にも限界が出ていることが考えられます。
このように、ケアマネジャーの高齢化は日本の介護に直結する深刻な問題です。政府が当事者となり考える必要がありそうです。