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介護士の悩み~高齢者の介護拒否一覧と対策~

介護士の悩み~高齢者の介護拒否一覧と対策~

介護業務では、排泄、食事、服薬、入浴など様々な業務がありますが、業務を行うにあたって、利用者の拒否が発生し、思うように業務が進まないことがあり、介護士の負担となっています。


目次

【1】「介護を受けることに抵抗がある人」

【2】「認知症により状況が分からず、混乱し、抵抗する人」

【3】利用者による拒否一覧

1.入浴拒否

2.食事拒否

3.服薬拒否

【4】拒否が起こった時の対応はどうするの?

【5】なぜ拒否しているのか、本人に理由を聞いてみる

1.ポジティブな言葉かけで対応する

2.何よりもまず「安心してもらうこと」を重視する

【6】まとめ



介護拒否はどうして起こるのか?

介護拒否には、だいたい2つに分かれます。「介護を受けることに抵抗がある」か「認知症により状況が分からず、混乱し、抵抗する」の二つです。



「介護を受けることに抵抗がある人」

施設に入所してきたばかりの人は他人から介護されることに抵抗がある場合があります。介護されるとは自分の生活空間に他人が入ってくることですから、入浴、排泄は特に他人の介入を避けたいと考え、拒否してしまうのです。


しかし、一般的には施設に慣れるにつれて、また介護士との関係性が深まるにつれて、介護を受ける抵抗もなくなり、介護拒否は減少していきます。それでも、プライドが著しく高い利用者は、抵抗感をいつまでも持ち続ける場合もありますので、注意が必要です。


利用者は今まで自分のことは自分でやってきた人たちです。それなのに高齢で自分を管理できないという理由で、他人から身の回りのことを全てやられてしまうのは、抵抗を持っても当然といえます。本当は家で過ごしたい思いを持つ人も多いですし、施設で暮らすこと自体を本意でないと感じているかもしれません。


介護とはあくまで利用者の生活をサポートする事ですので、利用者の尊厳を守り、利用者の助けになりたいというスタンスで介護することが必要です。



「認知症により状況が分からず、混乱し、抵抗する人」

認知症になると、自分のおかれた状況を理解、把握できにくくなります。そのため、自分のために介護士が生活のサポートをしてくれているという認識を持っていない場合が多いです。


具体的な話だと、「今からお風呂に入るので、お風呂場へ移動します」と言っても、「なぜ、お風呂に入るのにお風呂場へ移動する必要があるのか」という考えを持つ人もいいます。「お風呂に入るので、服を脱ぎましょう」と言っても、「なぜ服を脱がされなきゃいけないのだ」と感じる人もいます。


入浴をする上で必要な行動が分からなくなっているのです。認知症の利用者は今から何をされるのかわからないから、恐怖を感じる場合があります。そのため、ひとまず拒否するという行動につながってしまうのです。


また、認知症利用者の場合は、順序立てて説明しても、理解できない場合もあります。一度に「これからお風呂に入るので、お風呂場へ移動し、服を脱ぎましょう」と伝えても理解されません。その場合は、「お風呂に入ること」「お風呂へ移動すること」「洋服を脱ぐこと」を分けて、説明すると受け入れる場合があります。



利用者による拒否一覧

介護は利用者の協力があってこそ、成り立つものなので、拒否があると業務は停滞します。業務が止まると後の業務に差し支えるため、介護士の苦労は増えます。どのような拒否があるのかまとめてみますので、把握して事前に対策を立てることが大切です。


入浴拒否

高齢者施設で一番多いのは、この入浴拒否だと思います。一度に多くの高齢者を入浴する必要がある施設では、効率性が求められ、利用者の拒否行動は大変な負担となります。なぜ、入浴拒否が起こるのかというと、入浴はやることが多いからというのがその一因です。


居室から浴室への移動、服を脱ぐ、洗髪、洗体、入浴、身体をふく、服を着る、居室へ戻るなど、たくさんのすべきことがあるため、面倒に感じてしまうのです。あまりに入浴拒否が強く、1ヵ月入浴できない利用者もいます。衛生面で入浴は必須ですので、うまく行う必要があります。


食事拒否

入浴同様に拒否が起こり、骨が折れるのがこの食事拒否です。

食事の場合は、体調に問題がないのであれば、「食事が口に合わない」「食事をする気分ではない」などいろいろな理由があります。利用者の中には、嚥下機能が低下しているため、「刻み食」や「流動食」でなければいけない人もいます。


刻み食は既に食材が小さく刻まれており、流動食はすぐに飲み込めるもののことです。刻み食や流動食を美味しいと認識せず、拒否する利用者もいます。食事の進みが悪かったり、拒否が起こったりするのは、食事が美味しくない場合があります。介護士の食事がすでに小さく刻まれていたり、噛まなくても食べられるゼリーのようなものだったら、食欲は失せるでしょう。それと似たようなものです。


また、施設利用者は、身体を動かす機会が少ないです。必要なことも介護士が全てやってくれたりします。そのため、お腹がすきにくいです。そもそもお腹が空かないため、食事拒否が起こることもあり。


服薬拒否

入浴・食事拒否と同じようにはいかないのが服薬拒否です。入浴は最悪、次の機会に延期しても良いでしょう。食事も完食できなかったとしても、ある程度の分量を食べられたら良しとする場合もあるでしょう。服薬はこうはいきません。


なぜなら、命に関わるからです。拒否があるから、今日は飲まないというのはダメですし、半分だけ飲めたから大丈夫などということもありえません。血圧や糖尿の薬など体調を維持する上で大切な薬が含まれていることが多いですから、医務と相談しながら、慎重にしていく必要があります。


どうしても拒否が強い場合は、食事に混ぜるという方法もありますが、よく相談の上でどうしても仕方がない場合に限って行うと良いです。



拒否が起こった時の対応はどうするの?

介護拒否には必ず理由があります。拒否が起こった時の介護士の負担は大変大きいものがありますが、一旦心を落ち着かせて以下の行動をとってみて下さい。



なぜ拒否しているのか、本人に理由を聞いてみる

本人なりの理由は必ずあるはずです。その理由を聞き出し、一つずつ解いてあげる必要があります。妄想や本人の強いこだわりの場合はすぐに解くことが難しいですが、時間をかけて対応する必要があります。


ポジティブな言葉かけで対応する

拒否が起きる時は、利用者の気分は当然良くありません。利用者のために介護している介護士も拒否を受ければ、当然気分が良くないはずです。そこで介護士が感情的になってしまい、荒い対応をしてしまっては、関係性も崩れてしまいます。湧き上がる感情をぐっとこらえて、ポジティブな言葉を選んで対応します。雰囲気も大切ですから、明るい雰囲気をつくり、対応しましょう。


何よりもまず「安心してもらうこと」を重視する

認知症利用者になると、状況理解ができない場合がありますから、これから何が起こるのか強い不安に駆られることもよくあります。その時に介護士から丁寧な対応をしてもらえないと、余計に不安になります。

介護士の負担は大きいですが、利用者に安心してもらうことに気を使い、配慮することが大切です。安心してもらうことを心がけ続ければ、利用者との関係性もでき、拒否が減っていく場合もあるでしょう。



まとめ

介護拒否が起こった時の介護士の負担は相当大きいものがあります。ただでさえ、業務は多忙の場合が多いですから、時には感情的になってしまうかもしれません。しかし、利用者はわざと拒否しているわけではなく、強い不安にかられていたり、認知症により今の状況が分からないといった状況にある場合があります。介護士の考えでは理解できない状況が利用者に起こっているのです。


そのため、介護士は冷静になり、拒否の理由を考えて、利用者に寄り添っていく必要があるのです。介護士も大変ですが、利用者も大変です。少しずつ信頼関係を築いて、利用者に近づいていくことが良いです。ぜひ、少しずつでもトライしてみて下さい。