一人暮らしの高齢者や介護が必要な高齢の夫婦は、特に夜の時間帯に不安を抱えています。そんな不安を感じる高齢者のために、24時間体制で見守ってくれる介護サービス「夜間対応型訪問介護」があります。
目次
【1】「夜間対応型訪問介護」の3つの特徴的なサービス
【2】「夜間対応型訪問介護」と「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の違い
【3】「夜間対応型訪問介護」はこんな方が利用しています
【4】まとめ
夜間対応型訪問介護は「要介護1~5」の認定を受けた利用者が利用できる、24時間365日対応の地域密着型のサービスです。高齢者が特に不安を抱える深夜の時間帯も対応可能なサービスのため、近年注目を集めています。サービス内容は主に以下の3つです。
①定期的な巡回による訪問介護サービス
②利用者のニーズに応じた随時の訪問介護サービス
③利用者の通報に応じて調整・対応するオペレーションサービス
夜間対応型訪問介護は「要支援1・2」の人は利用できません。
また、利用者の援助に直接的に該当しない「利用者の家族のための家事」や日常生活の援助の範囲を超える、草むしりやペットの世話、大掃除などはサービスとして受けることはできません。
「夜間対応型訪問介護」の3つの特徴的なサービス
夜間対応型訪問介護には「定期巡回」「随時対応」「オペレーションサービス」と呼ばれる3つのサービスがあります。
定期巡回
夜間帯(18~8時)に定期的な訪問を受け、安否確認やおむつ交換、体位変換などの日常的な介助を行うサービスです。訪問の時間帯(主に22時~翌朝6時)や介護内容は、あらかじめ契約する内容に沿って対応の範囲が変わります。
随時対応
夜間にベッドから転落して自力で起き上がれない時や急に体調が悪くなった時などに、専用のケアコール端末を使用してオペレーションセンターに通報したり、訪問介護員(ホームヘルパー)を呼んで介助を受けたり、救急車の手配などを受けるサービスです。
オペレーションサービス
あらかじめ利用者の心身の状況や生活環境などを把握した上で、利用者からの通報を受け、通報内容をもとに訪問介護員が家へ訪問する必要があるかどうかを判断し、必要があれば家へ訪問して介護のサポートを行うサービスです。
「夜間対応型訪問介護」と「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の違い
夜間対応型訪問介護に似たサービスとして「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。この2つの違いは「サービス内容」と「利用料金」です。
サービス内容の違い
夜間対応型訪問介護が「訪問介護」しか受けられないのに対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、その名の通り「訪問介護」だけでなく「訪問看護」も受けられます。
訪問看護とは、病気や障害を持っている高齢者が自宅で療養中に、看護師などが訪問して療養生活のお世話や診療の補助を行なうサービスです。主治医と連携して適切な医療処置が受けられることが大きな違いです。
利用料金の違い
基本的に「看護」が受けられる分、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の方が割高です。1ヵ月の費用が夜間対応型訪問介護が1万4,000円ほどなのに対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は1万7,000円ほどと、約3,000円高くなっています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、「訪問介護」のみの利用も可能ですがそれでも夜間対応型訪問介護に比べると割高になることがよくあります。
また、夜間対応型訪問介護で「訪問看護」も利用することができますが、別途、訪問看護の利用料金を支払う必要があります。
利用の仕方によっては、通常の訪問介護や訪問看護を早朝・夜間に利用し、加算料金を支払った方が割安になる場合もあります。
しかし、これらの金額はあくまでも目安で地域ごとに費用は異なります。詳細はお住いの区役所や市役所にて、どこの施設で夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護が受けられるか確認しましょう。
「夜間対応型訪問介護」はこんな方が利用しています
・もしもの時に連絡・相談できる存在が必要な方
・夜間に転倒する心配がある方
・定期的な排泄介助などに対応してくれる存在が欲しいご家族の方
・病院から退院後、住み慣れた自宅で過ごしたいが安心できるサポートが欲しい方
・一人暮らしの高齢者、高齢者世帯、または家族の介護が難しい方
・入所できる施設を探しており、それまでに在宅で介護が必要な方
・認知症や疾患があり、柔軟なサービスの変更が必要な方
・子育てと介護の両立が大変なご家族の方
夜間対応型訪問介護は1日に複数回のケアを受けることもできるので、施設しかないと思っている方でも自宅での生活を十分に継続することができます。
また、訪問介護との併用も可能なため、うまく組み合わせることでそれぞれの家族に合った支援が受けられます。
夜間対応型訪問介護の最大のメリット
夜間対応型訪問介護のメリットは、やはり何といっても「安心感」です。
要介護認定を受けている人の中には、一人暮らしの高齢者も多く、安否確認は家族にとって一番の安心に繋がります。
また、高齢者の介護を高齢者が行う「老老介護」の世帯では、細部まで面倒が見られないという場合が多々あります。そのほかには、残業で家族が毎週金曜日は帰りが遅くなるという場合などに、短時間のスポットで利用できることも大きな魅力となっています。
定期巡回によるサービスも大きな安心ですが、それに付随する心の支えとなってくれる夜間対応型訪問介護も大きなメリットです。
夜間対応型訪問介護のデメリット
デメリットとしては、地方では夜間対応型の訪問介護サービスを提供しているところが少ないということが挙げられます。
また、定期巡回型サービスや随時訪問サービスは1ヶ月間利用しなかったとしても1ヶ月あたりの介護費の支払いを請求されます。この介護費というのは月ごとに支払いが発生するため、もし月の途中に別の事業所に変更になった場合でも、数日間利用していた事業所には1ヶ月分の費用を支払わなければならないことが多いのが実際です。
まとめ
今回は「夜間対応型訪問介護」についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
不安が多い夜の時間帯に身体介護が必要な方のケアをしたり、緊急時も対応可能な夜間対応型訪問介護は、高齢者だけでなく、高齢者を支える家族にとっても安心できるサービスです。
家族は安心でき、睡眠時間を十分に確保できることで心身ともに安定します。
深夜に不安を抱えている方は、ご自身のニーズに合わせてどんなサービスが必要かをケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、夜間対応型訪問介護の利用を検討してみてはいかがでしょうか?