高齢者や介護が必要な方にとって、病院への通院は大きな負担となっていることもあります。介護タクシーは、介助する側・介助される側の負担を減らしてくれるもの。サービス内容や利用方法等について、詳しくご紹介します。
目次
【1】介護タクシーとは?
【2】利用するには条件をクリアする必要がある!
【3】どうしたら利用できる?
【4】利用する際の料金は?
【5】介護タクシーとして使用される車は?
【6】どんなサービスを受けられる?
【7】介護タクシーと福祉タクシーの違いは?
【8】利用者や家族をサポート!
自宅で生活している高齢者や身体の不自由な方にとって、悩みの1つとして挙げられるのが病院への通院などの外出。介護する方が仕事をしていたり、外せない用事がある場合など、通院に付き添うのが難しいという事もあります。そんな時、頼りになるのが“介護タクシー”です。介護タクシーとは、介護を必要とする方が、通院などの際に利用することができるもの。
今回は、介護タクシーとはどんなものなのか、利用条件や利用方法などについて、詳しくご紹介します。介助が必要な方の移動手段として便利なものなので、ぜひチェックしてみてくださいね!
介護タクシーとは?
介護タクシーとは、1人で車に乗るのが難しい方や、介護を必要とする方が外出の際に利用できる車両のこと。通院はもちろん、市町村役場での手続きや金融機関を利用する際などにも利用することができます。介護タクシーの乗務員は、介護職員初任者研修以上の資格を持っているため、車両の乗り降りの他、着替えや目的地での移動介などのサービスを受けることも可能。
訪問介護サービスとして、介護保険の適応を受けることができますが、利用する目的によっては、保険が適応されない場合もあります。
では、どのような際に利用することができるのでしょうか?
利用するには条件をクリアする必要がある!
介護タクシーを利用するには、一定の条件を満たしていることが必要となります。
介護タクシーを利用するために必要な条件には、
- 介護度が要介護1以上であること
- 電車やバスなどの交通機関を一人で利用することができない方であること
- ケアマネジャーの作成するケアプランに介護タクシーの利用が含まれていること
などがあります。
介護タクシーは訪問介護サービスの1つであるため、自宅で生活している方の他、有料老人ホームやケアハウス・サービス付き高齢者向け住宅に住んでいる方がサービスの対象とされ、介護保険施設で生活している方や入院中の方などはサービスの対象外となります。また、介護度が要介護1以上である方であっても、担当するケアマネジャーが介護タクシーのサービスが必要と判断していない場合は、対象外となります。
以上の条件の他にも、介護タクシーの訪問介護サービス事業所と契約していることや、介護保険サービスの支給限度単位数以内となっていることなど、利用するためにはクリアする必要がある条件がいくつかあります。
どうしたら利用できる?
介護タクシーを利用する条件として、ケアマネジャーの作成するケアプランに含まれていることが必要と述べましたが、介護タクシーを利用するためには
担当のケアマネジャーに相談
↓
担当のケアマネジャーが必要性を判断
↓
介護タクシーのサービスに対応している訪問介護サービス事業所と契約
という手続きが必要となります。
サービス事業所との契約が成立したらいつでも使用できるというわけではありません。利用者の通院日が決定した際に、利用者が担当のケアマネジャーに介護タクシーを利用したい日時を連絡し、連絡を受けたケアマネジャーが、事業所と日時や介助内容等の調整をします。利用者から事業所に連絡しても原則対応しないこととなっているので、必ずケアマネジャーに連絡を入れることが大切です。
日程の調整ができたら、予約した日時に事業所の介護職員が利用者の居宅に訪問し、健康状態を確認したり、外出準備の手伝い等をして、目的地まで移送します。目的地での用事が済んで帰宅する際には、事業所に利用者から直接連絡することで、担当者が迎えに来てくれるようになっています。
利用する際の料金は?
自宅から目的地、目的地から自宅まで、身の回りの介助をしてくれる介護タクシー。利用する際には、移送にかかる運賃と介護保険サービス代が必要となります。
介護タクシーは、訪問介護サービスの1つなので介護保険が適応されますが、移送にかかる運賃は介護保険の対象外のため、通常のタクシーを利用する際と同じように、運賃は全額自己負担となります。また、迎車料金や待機料金等も通常のタクシーと同様にかかりますが、こちらも全額自己負担となります。
ただし、乗務員が利用者の乗り降りや移動を介助する際の介護報酬の部分は、介護保険の適応となり、厚生労働省が定める単位と、地域の訪問介護の単価で決まります。介護保険の適応となる部分は、収入に応じて1割または2割の負担で利用できるので、介護が必要な方にとって、ぜひ利用したいサービスと言えます。
介護タクシーとして使用される車は?
介護が必要な方が外出する際に欠かせない介護タクシーですが、介護タクシーとして使用することができる車は
- 車いすまたはストレッチャーのまま乗り降りすることができて、車内に固定する設備がある車
- 介護職員初任者研修の資格取得者が乗務している車
とされています。
介護タクシーの車両には、車いすやストレッチャーを備え付けた福祉車両と、ワゴンなどの一般車両とがあります。見守りまたは一部介助で外出できる利用者の場合、一般的なタクシーに用いられているセダン型の車両でも対応可能となります。車いすやストレッチャーを備え付けている福祉車両として、ハッチバック型でスロープの付いているものが用いられています。ストレッチャーでの移送をする場合、ヘルパーが2人対応することが多くなっています。
どんなサービスを受けられる?
介護保険を利用して介護タクシーを利用できるのは
- 病院への通院
- 市町村役場等、公的機関での手続き
- 金融機関
- 介護施設の見学
- 選挙
- 生活必需品の買い物
とされています。
これらの目的で使用する際にも介護保険が適応されなかったりする場合もあるので、利用する際に確認することがオススメです。また、利用する際は基本的に予約制となっていて、急に利用したいといっても使用できないことがあります。
外出する際には、利用者の居住する場所まで迎えに来て、着替えなどの準備の手伝いをしてもらうことができます。自宅からタクシーまでの移動の介助はもちろん、自宅の戸締り確認もサービスとして受けることが可能。目的地まで移動したら、タクシーから目的地までの移動をサポートしてもらうことができます。
目的地での用事が済んだら、自宅への帰宅をサポートし、必要に応じて着替えやおむつ替え等を行うこともあります。ただし、介助する項目はケアマネジャーの作成したケアプランによって決められているため、希望するサポートを必ず受けることができるとは限りません。
介護タクシーと福祉タクシーの違いは?
介護タクシーと似たサービスを受けることができるものに“福祉タクシー”があります。
介護タクシーと福祉タクシーとの違いは?というと、福祉タクシーは
- 介護保険の適応外
- 介護職員初任者研修の資格取得者でなくても乗務できる
- 目的の指定が無い
ということがあげられます。
介護職員初任者研修の資格を取得していない人でも福祉タクシーの乗務が可能となっているので、福祉タクシーは基本的に利用者の介助などのサポートはできず、目的地までの移送のみを行います。ただし、介護保険の適応外のため、旅行や遊びなど、どんな目的であっても利用できるサービスとなっています。
利用者や家族をサポート!
高齢になると、定期的な通院が必要となる方が多くいらっしゃいますが、介護が欠かせない方やそのご家族にとって、外出は大きな負担となってきます。
そんな時、介護保険が適応できるサービスである“介護タクシー”を利用することができれば、介護が必要な方も介護する方も、負担を減らすことができます。ケアプランに記載されていることなど、介護タクシーを利用するための条件をクリアすることが必要となりますが、利用することで介護者もリフレッシュすることができるので、上手に利用していきたいですね。