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介護施設への実習生受け入れ。実はかなりの負担!?

介護施設への実習生受け入れ。実はかなりの負担!?

介護士を目指す専門学生は単位取得のために介護施設での実習が必須になっています。

しかし、これは現場で働く介護士の負担を増やすため、一部不評でもあります。


一方、実習生を実質的な労働力として活用する施設もあるため、喜ばれる場合もあります。

賛否両論ありそうですが、実態はどうなのか明記していきます。



目次

  1. 実習生の受け入れはどうして必要なの?
  2. 学生側は実習をどう捉えている?
  3. 現場介護士は実習生をどう思っているの?
  4. 介護士には賛否両論ですが、施設側としては受け入れのメリットはあるの?
  5. 実習ではどのような指導をしてあげたらよいの?
  6. 具体的に何をしてもらうのか?


実習生の受け入れはどうして必要なの?

定期的に施設へやってくる介護実習生の専門学校生は、なぜ施設で実習をしなければならないのでしょうか。

それは、介護福祉士をはじめとする専門学校などの養成施設では、450時間以上の「介護実習」が義務付けられているからです。


介護士として高齢者の生活をサポートするには、介護現場での実践力、応用力が必須の能力となります。教科書だけの知識で高齢者を介護することがないように、現場実習が組まれています。実習生たちは、厚生労働省が示す介護実習の内容通りに、介護実習のカリキュラムを行っているのです。


そのため、学校により多少の違いはありますが、一年生の時に介護現場に行き、生の介護を体感する実習を持つようになります。

定期的に同じ施設に同じ学校から実習生が送られてくるのは、施設と学校が提携を結んでいるからです。

実習先は、老人ホーム、老人保健施設、デイサービスが多いです。


学生側は実習をどう捉えている?

では、実習の機会を学生達はどういう準備をして望み、また実習後はどのようにその経験を活かしているのでしょうか。


実習が始まる前には、担当教員と共に実習目標や計画を立てる時間を持ちます。

そして、実習中に何を学ぶのか、何を成したいかを相談しながら、計画を練り上げていきます。


そこでは担当教員から、実習中のマナーやトラブルが起きた時の対処法も合わせて学びます。

教員側も実習受け入れ側に失礼のないように、学生達を指導していきます。


介護実習後には、内容を振り返り、学生達がそこからさらに学ぶことができるようにする時間を持ちます。

他の実習先に行った学生達とも情報を共有できますから、重要な時間です。学校により振り返り方法は様々なようですが、多くは実習報告書を作成し、発表する形で行われます。

この実習の振り返りは、自分の考えを文章に起こし、発表のために準備をする必要があります。

その中で自分が介護士としてどのように高齢者に貢献できるのかを考える時間でもあるため、大変有意義な時間です。


実習は一回あたりどのくらいの時間行うの?

期間は1週間〜3週間程度が一般的ですが、学生の夏休み、春休みを利用して、2カ月前後の長期実習も行うところもあるようです。

実習時間は、介護施設の日勤帯の時間に行うこと多く、9時or10時から始まり、18時or19時には終了します。


施設介護士と同じ時間で実習を行うため、介護士の卵として十分な実践経験を積むことができます。

実習ではありますが、安全な部分において、利用者の介助を行うことになるため、疑似就労体験ともなります。

アルバイトをしたことがない実習生もいるため、初めての就労経験となる場合もあります。


現場介護士は実習生をどう思っているの?

ここまで実習生側の事情を見てきましたが、介護士側の事情も見てみたいと思います。

介護士は日々多忙な業務を行っていますが、実習生はそのような忙しい現場に入っていくことになります。

介護士側からしたら、実習生が来るということは、実習生を指導しなければならないことを意味しますので、人によっては負担となり、嫌がるものでもあります。


実習生はアルバイトなどの就労経験がない人もいますから、挨拶や礼儀などを欠いている場合もあります。

そのような実習生相手に指導する場合は介護士の大きな負担となります。

一方で、挨拶や礼儀がしっかりしている実習生相手であれば、介護士もやる気になり、未来の介護士候補へなんとか勉強してもらうべく、指導にも熱が入ります。


実習生の受け入れを負担と感じる介護士がいる反面、実習生に早く介護を覚えてもらって、即戦力として動いてもらうことを考える介護士もいます。

2週間程度では利用者の介護を行うことは難しいですが、1ヵ月もいると、次第に慣れていき、簡単な介助であれば行うことができるようになります。

介護現場は人手不足ですから、そのように動いてくれる実習生は非常に助かるものでもあります。


介護士には賛否両論ですが、施設側としては受け入れのメリットはあるの?

実習生を送り出す学校は受け入れ先の施設に対して、一定の金銭が渡されます。

実習生を一定期間にわたって面倒を見てもらうので、当然なことですが、施設には収入となります。


なお、その収入は現場で働く介護士には一切、還元されません。

実習生の指導をするのは介護士ですが、それに対する報酬はゼロなので、文句が出るのも無理はないかもしれません。

また、施設側は金銭的メリットがあることの他にもメリットはあります。

実習生と一定期間、業務を行うと実習態度からその実習生の性格が見えてきます。


怠惰な人は論外ですが、真面目に実習に取り組む学生ならば、学校卒業後、施設にそのまま雇うという道もあるわけです。

もちろん、実習生側の希望があり、正規の選考を通っての雇用ですが。

実習生としても、一定期間を施設で過ごせばその施設の雰囲気も分かるわけですから、全く内情が分からない施設に就職するよりかは、実習でお世話になった施設の方が良いわけです。


このように人材という点で見ても、実習生を雇える可能性があるわけですから、受け入れを行っても損はないわけです。

一見、実習生に介護業務を教えるのは、未来の介護士のためのボランティアのようですが、施設側は金銭的メリットと未来の人材確保の可能性をかけて、受け入れるメリットはあるようです。


実習ではどのような指導をしてあげたらよいの?

実習生は働くために施設に来ているわけではなく、学生として勉強するために来ているのです。

そのため、厳しく接したり、業務内容を教えず邪魔扱いをするというのは良くない対応です。


介護士も忙しく、実習生の相手はしていられないという意見も聞こえてきそうですが、可能な限り実習生に寄り添うことが大切です。

実習生はとても緊張しています。

働いた経験がない人もいるため、自分の自由にならない中で9時間も過ごさなければなりません。


そして、それを連日行うわけですから、ストレスも大きいものがあります。

さらに実習後には実習記録を作成しなければならず、これも簡単に作成できるものではありません。

通常であれば、2時間前後あれば作成できるようですが、実習生によっては4~5時間かけて作成する人もいるほどです。

実習生も頑張って参加しているため、なるべく丁寧に優しく指導することができれば、実習生も未来の介護士像をイメージしやすくなるのではないでしょうか。


具体的に何をしてもらうのか?

実習といっても何でもやってもらうわけにはいきません。

利用者によっては、食事、排泄、入浴に特別の注意を払う必要があり、介護士でも難しい対応が迫られる人もいます。


そういった全介助かつ危険だと思われる利用者は職員が行い、より安全な利用者に接してもらうようにしています。

まずは利用者の名前と顔を覚えてもらい、コミュニケーションをとってもらいます。

食事介助や水分提供、ベットメイキング、排泄介助などできるところからサポートしてもらいます。

入浴介助は事故が起きやすいので、簡単な介助だけにとどめ、見守り中心にサポートしてもらいます。


施設によってその方針は違うでしょうから、後はその都度、臨機応変にするのが良いでしょう。

気を付けるべきは、利用者の安全が第一ですので、何でもかんでも実習生にさせないことです。


見守りも立派な実習ですから、職員が行うべきことは見ててもらうようにすると良いです。

生の受け入れは職員にとって、様々な意見がありますが、実習生にとっても大変なものです。

職員は余裕がなく、実習生にうまく指導できない時もあるかもしれませんが、実習生も学びに来ているため、うまく現場を見られるように配慮してあげると良いです。


労働者ではないので、実習生を働いてもらうわけにはいきませんが、うまく指示して、サポートしてもらえば、職員にとっても助かる存在であり、それが実習生にとっての大きな学びになると思います。

実習生が学べるようにうまく機会を与えてあげられたら、お互いにとってとても良い時間になるのではないかと思います。