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介護士の感情からくるストレス

介護士の感情からくるストレス

介護士は肉体労働と言われますが、実は感情の負荷が大きい「感情労働」の側面を大いに持ち合わせています。今回、介護士は感情労働の側面が強いところから、感情労働とはどんなものなのか見ていきたいと思います。


目次

  1. 【1】感情労働とは!?
  2. 1.介護士の感情労働
  3. 【2】介護士の感情面のストレスとは?
  4. 【3】感情労働が増えつつある現代
  5. 【4】介護士の感情面のストレスとは?
  6. 【5】ストレスを溜めないためには?
  7. 1.嫌な感情を否定しないこと
  8. 2.割り切ることも必要
  9. 【6】まとめ


感情労働とは!?

「感情労働」を分かりやすくいうと、ストレスのたまりやすい仕事と言い換えることができます。感情を売る仕事とも言われ、対人コミュニケーションの中で自分の心がすり減ったり、抑圧によるストレスが多かったりする仕事です。


介護士は、高齢者の介護で身体的介助を行うため「肉体労働」のイメージが多いと思いますが、実は精神的にも負担がかかる職業です。

感情労働は、一般企業では窓口業務にあたります。お客様のクレームに対し、謝罪や誠実な対応を求められるため、心をすり減らす部分が出て来てしまうからです。


他には飛行機の客室乗務員や教師も対人において、多大なストレスを抱えていることから感情労働と言われます。


介護士の感情労働

介護士は肉体労働、頭脳労働、感情労働の中では、「感情労働」に分類されます。肉体労働と思っている人がいますが、それだけでは誤りです。肉体労働ではありますが、感情労働の側面が強いです。介護士は自らの感情をコントロールしながら利用者対応を行うことが必要だと、今までの援助技術としても強調されてきました。


利用者に向き合う時は、冷静な態度が必要とされており、介護業務を行う上では、感情を抑えることは前提として、介護技術を磨くように期待されています。すぐにイライラする人は介護技術うんぬんよりも先に介護士として適正を欠いているとみなされてしまいます。


介護士の感情面のストレスとは?

介護士は高齢者に喜んでもらえる、ありがとうと言われる仕事ではあると思います。

これをやりがいとして介護士をしている人も多いと思いますが、介護士にも様々なストレス面があります。


高齢者は誰でも気の良い人たちではなく、偏屈な人や機嫌が悪くなりやすい人もいます。

また、認知症の高齢者も多く、短期記憶を保持できず前に言ったことを忘れてしまい、何度も同じことを言うなど介護士の負担は大きいです。そういった高齢者を前にしても、いつも笑顔で丁寧に介護しなくてはなりません。


利用者による、暴言、暴力、無視、わがまま、嫌がらせなど介護士にはどんな状況でも落ち着いた態度と介護士としての技術を活かした支援が求められます。


高齢者は、家族と離れて生活をしていることが必ずしも生活に離れていて、暴言、暴力を受けながらも、感情を抑制し、冷静な対応が求められる仕事であるため、介護士はメンタル的にダメージを負いやすく、心にストレスを積もらせていくことになります。精神的にストレスを感じている時でも、業務は続けなければなりません。


業務中もすべきことは多く、忙しさも相まって、さらにストレスを溜めてしまうことになります。


感情労働が増えつつある現代


 

現代では、三次産業が拡大しています。

農業や林業、漁業などの一次産業では肉体労働が比重を多く占めます。


一次産業では自然が相手であることが多く、人間関係からくるストレスは少ないです。また、製造業などの二次産業は頭脳労働と肉体労働の2つを併せ持ち、相手にするのはモノであって、品質や生産性などが業務上の課題となります。


この場合も組織内の人間関係はストレスとして問題になることがありますが、仕事自体の対人関係は課題としてそこまで大きくありません。

しかし、三次産業は人間を相手にしている業務です。つまり、三次産業=サービス業では感情労働の割合が非常に大きくなります。サービス業である三次産業が発展し、その仕事に就く人が増えたため、日本全体での感情労働の割合が高まっているというわけです。


日本は顧客満足度の追及がシビアです。お客様のためにと質向上が図られますが、それは社員の犠牲の上に成り立っています。海外ではお客様のすべてに満足してもらおうとは考えずに少数のクレーマーは切り捨てます。

しかし、日本は全てのお客様に満足してもらうことを目指すために過度なサービス、過度な対応が生まれ、それが感情労働であるならば、さらにストレスを多く抱えることになるのです。


また、肉体労働・頭脳労働とされていた仕事も、現代ではそこに感情労働が含まれる割合が年々高まってきています。例をあげると、バスの運転手がこれに当たります。ひと昔前なら、安全に乗客を運んでいれば仕事としてよしとされていました。


しかし、今は「ご乗車ありがとうございます」「おつかまりください」などとお客様に常に声かけが必要となっています。加えて、笑顔で丁寧な対応を会社から求められます。コミュニケーション能力や空気を読む力がなくては求められる仕事をこなすことができない世の中となっており、仕事のすべては「感情労働」といっても過言ではない状態になってきています。

 

介護士の感情面のストレスとは?

介護士は高齢者に喜んでもらえる、ありがとうと言われる仕事だ。これをやりがいとして介護士をしている人も多いと思いますが、介護士にも様々なストレス面があります。高齢者は誰でも気の良い人たちではなく、偏屈な人や機嫌が悪くなりやすい人もいます。


また、認知症の高齢者も多く、短期記憶を保持できず、前に言ったことを忘れてしまい、何度も同じことを言うなど介護士の負担は大きいです。そういった高齢者を前にしても、いつも笑顔で丁寧に介護しなくてはなりません。


利用者による、暴言、暴力、無視、わがまま、嫌がらせなど介護士にはどんな状況でも落ち着いた態度と介護士としての技術を活かした支援が求められます。暴言、暴力を受けながらも、感情を抑制し、冷静な対応が求められる仕事であるため、介護士はメンタル的にダメージを負いやすく、心にストレスを積もらせていくことになります。精神的にストレスを感じている時でも、業務は続けなければなりません。


業務中もすべきことは多く、忙しさも相まって、さらにストレスを溜めてしまうことになります。


ストレスを溜めないためには?

介護士として業務をしていると暴言、暴力を受けることは珍しいことではなく、大変な思いをしながら業務に取り組んでいる方もいるかと思います。暴力や暴言は利用者の問題行動として施設内で共有することも大切ですが、そういった場面に出くわした時の介護士のストレス対処法も大切です。


利用者によるストレスをいつまでも抱えていては、介護士を続けることはできません。そのため、心を整理しながら業務に取り組む必要があります。


嫌な感情を否定しないこと

介護士として大切なことは、自分の心に生じた「嫌な感情を否定しないこと」です。

利用者に対して嫌な感情を持つこと自体に罪悪感を覚える介護士も多いですが、嫌だという感情を閉じ込めてしまってはある日突然、突発的な行動を取り、利用者に害を与えてしまう可能性もありますし、介護士という仕事が嫌いになってしまうかもしれません。嫌な感情を抑圧する必要もありませんし、その感情を抱いてしまった自分を否定、嫌悪する必要もありません。


そして、嫌な感情は利用者に向けるのではなく、嫌なのは目の前の出来事なのであって、利用者ではないと思うことが大切です。毎日顔を合わせる利用者に苦手意識を持つと毎日の業務が苦痛になってしまい、さらに感情を抑圧して業務を行うことになります。また、同僚や上司に悩みを打ち明けつつ、ストレスを感じる利用者と距離を取ることも大切なことです。


割り切ることも必要

介護士は感情労働だから、ストレスが溜まりやすいと割り切ることも大切です。

というのも、感情を使う仕事と覚悟しておくことで何も意識しないで仕事に取り組むことより、心の免疫ができます。心の中で予測し、覚悟しておくことは、ストレスを感じる場面での事前対策になります。


まとめ

現代の日本は感情労働が増えています。とりわけ日本はストレスを受けやすい社会です。

消費者は過剰なサービスを求め、提供側も過剰なサービスで対応しています。しわ寄せは対応するスタッフにきており、心に支障をきたす人もいます。


介護士も例外ではありません。介護だけをすればよいのではなく、利用者の心の面を考えて、合わせて業務として行っていく必要があります。介護士は日常業務のみならず、利用者から受けるストレスにもケアが必要です。利用者からストレスを上手くケアすることも含めて、介護士の仕事と言えるのかもしれません。