利用者さまの生活を支えるための資格や職種は様々。ここではそんな資格の取得方法について詳しくご紹介します。
介護福祉士
介護福祉士は、その名のとおり介護業務を行う専門資格です。
介護福祉士の資格は国家試験に合格することで取得することができますが、一定の受験資格を満たしていないと受験することはできません。
介護福祉士の資格を取得するには、3つのルートがあります。
①実務経験ルート
介護施設などで3年以上の実務経験を積み、さらに実務者研修を修了することで受験資格を得られるルートです。
大学や専門学校に進学する必要がないので資格取得にかかる費用を大きく抑えられるうえ、介護現場で経験を積みながら資格取得を目指せます。
②福祉系高校ルート
福祉系高校にて定められた科目・単位を取得し、卒業後に試験を受けることで介護福祉士の資格取得を目指すルートです。
卒業すれば最年少で介護福祉士を目指すことができます。
③養成施設ルート
大学や専門学校など、指定の養成施設を卒業することにより受験資格を得られるルートです。
夜間コースや通信講座を設けている養成施設も多いため、他業種で働きながら介護福祉士の資格取得を目指すことも可能です。
初任者研修(ヘルパー2級)
介護職員初任者研修(ヘルパー2級)とは、介護の基礎を学んだことの証明となる資格です。
施設によっては無資格であっても働くことができる介護職ですが、訪問介護サービスを行う場合は、最低でも介護職員初任者研修を修了していることが条件となります。
また、介護の基礎を学ぶことができるため、家族の介護をしている方が、介護手法を学ぶために受講するケースも多く見られます。
資格取得にかかる期間は、最短で1ヶ月、平均的には3~4ヶ月程度といわれています。
また費用面については、5万円台の受講料で開講しているスクールもあれば、資格取得後のサポートなど手厚くバックアップするかわりに、15万円ほどの受講料で開講しているスクールもあります。
2013年4月1日の介護保険法施行規則改正で介護資格制度の見直しがあり、
名称が「ホームヘルパー2級」から「介護職員初任者研修」へと変更をされました。
実務者研修(ヘルパー1級)
実務者研修は、介護職員の質の向上と、介護職員のキャリアアップの仕組みを一本化することを目的に整備された新しい研修制度です。
初任者研修の上位資格にあたり、2013年4月1日の介護保険法施行規則改正で介護資格制度の見直しがあり、名称が「ホームヘルパー1級」から「介護福祉士実務者研修」へと変更をされました。
国家資格である介護福祉士と異なり、実務者研修に受講資格はないため、誰でも受講することが可能です。
また、研修というかたちをとっているため試験はなく、受講だけで修了となります。
無資格の方が受講を開始してから修了するまでにかかる期間は、およそ半年ほどといわれています。
制度改正により、2017年1月の介護福祉士試験から、実務経験ルートで受験する場合、実務者研修の修了が義務付けられるようになりました。
社会福祉士
社会福祉士は、介護福祉士、精神保健福祉士と並ぶ国家資格です。
高齢者介護だけではなく、児童福祉や障害者福祉、生活保護など、さまざまな福祉の現場で活躍しています。
社会福祉士は、何らかの理由で日常生活を送るのが困難な方の相談にのり、助言や指導を行うプロフェッショナルです。
社会福祉士は誰でも受験できるものではなく、次のいずれかのルートで受験資格を得る必要があります。
①福祉系の4年制大学で所定の課程を修了する
福祉系の4年制大学を卒業することで受験資格を得られるルートです。
必要な単位を取得し、実習を行って卒業すれば受験資格を取得することができるため、最短ルートともいわれています。
②福祉系の短大や専門学校で所定の課程を修了し、実務を1〜2年経験する2年制もしくは3年制の短期大学や専門学校を卒業し、相談援助の業務を経験することで受験資格を得られるルートです。
2年制の場合は最低でも2年、3年制の場合は最低でも1年以上の実務経験が必要となります。
③一般の4年制大学を卒業し、養成施設に1年以上通学する
社会福祉士の受験資格取得要件に当てはまらない一般の4年制大学を卒業したあと、養成施設に1年以上通学することで受験資格を得られるルートです。
④一般の短期大学を卒業し、実務経験を経て養成施設に1年以上通学する
社会福祉士の受験資格取得要件に当てはまらない一般の短期大学を卒業したあと、実務を1~2年経験し、養成施設に1年以上通学することで受験資格を得られるルートです
そのほかのルートに、「無資格で相談援助業務の実務を4年間経験して、養成施設に1年通うルート」や、「児童福祉司や身体障害者福祉司などの専門職として実務を4年間経験し、短期養成施設に半年以上通うルート」などがあります。
ケアマネジャー
ケアマネジャーは、介護や支援が必要となった高齢者の方の状況をチェックし、今後どのようなサービスをどのぐらい受ければいいのかをまとめた「ケアプラン」と呼ばれる、介護サービスの利用計画を立てる専門職です。
ケアマネジャーは、正式名称を「介護支援専門員」という介護の資格職。
介護福祉士や社会福祉士が「国家資格」であるのに対し、ケアマネジャーは都道府県が実施する「公的資格」にあたります。
ケアマネジャー試験を受ける場合、一定の要件を満たしていないと受験資格を得ることができません。
受験資格は以下となります。
①特定の国家資格を保有している人
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士
上記のいずれかを保有し、これらの国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上であれば受験資格を得られます。
②介護施設などで相談援助業務などに従事している人
上記の国家資格を保有していない場合でも、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、受験資格に定められる相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば、受験資格が与えられます。
都道府県ごとに若干異なる場合があるので、受験資格の詳細は受験地の担当部署に確認し、しっかりと把握をしましょう。
管理栄養士
管理栄養士は、食と栄養のプロフェッショナル。医師と連携して病気の方へ栄養指導を行ったり、介護施設などで利用者の方の状況に合わせた献立を提案したり、子どもたちの食育に携わったり…と、その役割は多岐にわたります。栄養士が「調理」に特化した業務に就くことが多い一方で、献立を考えたり、栄養指導を行ったり…と「管理」に特化した業務が多いのが管理栄養士の特徴です。
管理栄養士は国家資格。受験には次のいずれかの要件を満たす必要があります。
①4年制の専門学校や大学で管理栄養士養成課程を修了する
②4年制の専門学校や大学を卒業後、実務経験を1年以上積む
③3年制の専門学校 を卒業後、実務経験を2年以上積む
④2年制の専門学校・短大 を卒業後、 実務経験3年以上積む
②~④のルートは、学校を卒業後に栄養士の資格を取得し、その後、所定の期間、栄養士として実務経験を積むことで管理栄養士の受験資格を得ることができるというものです。
①のルートであれば、管理栄養士養成施設(大学・4年制専門学校)を卒業すれば実務経験なしで管理栄養士の国家試験を受験することができるため、最短ルートで受験資格を得ることが可能です。
栄養士
栄養士は栄養指導・献立作成・調理をおこなう専門職で、介護施設や病院、保育園等の福祉分野においても、重要な役割を持ちます。
栄養士は「調理」に特化した業務に就くことが多く、主な役割は、献立作成や調理などの給食管理業務を担い、食事を提供することです。
調理業務では調理師と共に、提供する食事を調理しますが、福祉分野では、相手に合わせてミキサー食や刻み食、離乳食など、特殊な調理をする事や、アレルギー対応について対応が発生します。
栄養士になるには、厚生労働大臣から栄養士養成施設として指定認可された昼間部の学校(通信・夜間不可)に入学し、その課程を履修して卒業しなければなりません。
栄養士の資格取得方法
①2年制~4年制 養成施設へ入学 (専門学校・短大・大学)
②卒業 (各養成施設で必要単位を取得)
③栄養士免許申請 (各都道府県知事に申請して免許を受ける)
④栄養士資格取得
調理師
調理師とは、「名称独占資格」であり、調理師免許取得者以外は調理師を名乗れません。
調理師を名乗って調理業務を行うためには、免許の取得が必須となります。
介護施設や病院、保育園などでの福祉分野では、調理室での調理業務が主な仕事となり、相手に合わせてミキサー食や刻み食、離乳食など、特殊な調理をする事や、アレルギー対応について対応する必要があり、転職の際はそうした経験を求められる事が多くあります。
免許の取得方法には2つのルートがあります。
①2年以上の調理の実務経験を積んだ上で調理師試験に合格し、都道府県知事に免許申請して取得。
②厚生労働大臣が指定する調理師養成施設を卒業し、都道府県知事に免許申請して取得するルートで、実務経験は必要なく調理師試験も免除されます。
①のルートでは、管理栄養士や栄養士と違い、現場での実務経験でも受験資格を満たせる事が特徴です。