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少子高齢化対策として策定。福祉3プランとは?

少子高齢化対策として策定。福祉3プランとは?

福祉3プランってご存知ですか?少子高齢化に対応するために策定された“ゴールドプラン”や“エンゼルプラン”、そして、障害者福祉の充実を図るために策定された“障害者プラン”の3つのプランを指す言葉。

高齢者や障害者、児童やその家族に対する社会保障制度が課題とされる中で、いったいどのようなものなのか、分りやすく解説します。


目次

【1】ゴールドプランとは?

【2】ゴールドプランの特徴とは?

1.目標の見直しにより、新ゴールドプラン、ゴールドプラン21の策定

【3】エンゼルプランとは?

1.きっかけは1.57ショック

2.新エンゼルプランの策定

3.新新エンゼルプランへ

【4】障害者プランとは?

1.障害者プランの特徴は?

2.共生社会の実現を目標に、新障害者プランを策定


ゴールドプランとは?

“ゴールドプラン”とは、1989年に、厚生労働省・大蔵省(現在の財務省)・自治省(当時の総務省)の3大臣の合意により策定された「高齢者保健福祉推進十か年戦略」のこと。

すべての国民が、健康で生きがいのある老後を安心して過ごせる社会の実現を目標に、高齢者の保健福祉分野で1990年から1999年までの10年間に達成したい整備目標が定められました。


ゴールドプランの特徴とは?

“ゴールドプラン”では、高齢者のための福祉施設の整備目標として、デイサービスセンター1万カ所、特別養護老人ホーム24万床、など、具体的な数値が掲げられたほか、「ねたきり老人ゼロ」を実現するために、地域の体制を整備し、保健師や看護師といった介護を支える人員を計画的に配置することなどが目標として掲げられました。


1990年から施行された“ゴールドプラン”ですが、翌年1991年に老人福祉法が改定されたことにより、施設から在宅へと福祉体制に変化が生じています。

この変化に伴って、市町村老人保健福祉計画が策定されました。


目標の見直しにより、新ゴールドプラン、ゴールドプラン21の策定

市町村老人保健福祉計画により、全国の状況が明らかになった結果、“ゴールドプラン”で設定された整備目標の見直しが図られ、“新ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10か年戦略の見直し)”が1994年12月に策定されました。


この“新ゴールドプラン”は、利用者の自立支援、普遍主義、総合的サービスの提供、地域主義の4つを基本理念として掲げたもの。

“ゴールドプラン”で設定された数値目標の見直しが行われたほか、老人訪問看護ステーションを5000カ所にするという数値目標が新たに加えられました。


“ゴールドプラン”と“新ゴールドプラン”によって、高齢者の介護サービスの整備が進められましたが、1997年に公布された介護保険制度をきっかけに、高齢者保健福祉のさらなる充実を目標として“ゴールドプラン21”が策定されました。


“ゴールドプラン21”は、介護サービスの基盤や地域生活を支援する体制を整備するとともに、信頼できる介護サービスの育成、認知症の高齢者に対する支援対策の推進を図ることが具体的に盛り込まれた内容となっています。


エンゼルプランとは?

エンゼルプランとは、1994年12月、当時の文部省・厚生省・労働省・建設省(現在の国土交通省)の4省の大臣の合意によって策定されたもの。

別名で“今後の子育て支援のための施策の基本的方向”とされ、少子化対策のガイドラインとして定められました。


きっかけは1.57ショック

 エンゼルプランが策定されたきっかけは、1990年に起こった1.57ショック。1.57ショックとは、合計特殊出生率が、統計を取り始めてから初めて、史上最低の1.57人になったということを指しています。この1.57ショックを受けて、政府が少子化を深刻な問題としてとらえ、少子化対策のガイドラインであるエンゼルプランの策定を進めました。


エンゼルプランでは、女性が子育てと仕事を両立できる社会づくりを行うために、職場復帰の支援や都市環境の整備等を行いました。


新エンゼルプランの策定

エンゼルプランは10年を目処としたものでしたが、1999年12月、大蔵省・文部省・厚生省・労働省・自治省・建設省の6省の大臣の合意により、少子化対策推進基本方針に基づいた「新エンゼルプラン」が策定されました。

この新エンゼルプランの正式名称は、「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」。


重点的に推進すべき目標として

  1. 保育サービス等子育て支援サービスの充実
  2. 仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備
  3. 働き方についての固定的な性別役割や職場優先の企業風土の是正
  4. 母子保健医療体制の整備
  5. 地域で子どもを育てる教育環境の整備
  6. 子どもたちがのびのび育つ教育環境の実現
  7. 教育に伴う経済的負担の軽減
  8. 住まいづくりやまちづくりによる子育ての支援


の8つが掲げられました。


保育時間の園長や病児保育・休日保育といった保育サービスや、専業主婦家庭でも利用できる一時保育サービスなど、ニーズに対応した保育サービスの整備が目標とされたほか、男女共同で子育てをしていくことを目標に、性別役割分担業の是正などについて言及するなど、画期的な内容となっています。


新新エンゼルプランへ

さまざまな施策が行われましたが、出生率の低下が一段と進んだため、2004年12月、新エンゼルプランを改め、“新新エンゼルプラン”とも呼ばれる子ども・子育て応援プランが策定されました。この子ども・子育て応援プランの正式名称は「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について」というもの。


このプランは、2004年6月に策定された少子化対策大綱に掲げられた4つの重点課題である“若者の自立とたくましい子どもの育ち”“仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し”“生命の大切さ、家庭の役割等についての理解”“子育ての新たな支え合いと連帯”について掲げた目標を定めたものとなっていて、2005年から実施されました。


子育て支援策については、2005年以降も課題に対する法改定が重ねられ、2015年4月から子ども・子育て支援新制度が施行されています。


障害者プランとは?

“障害者プラン”とは、1995年に策定された「ノーマライゼーション7か年戦略」のこと。

内閣総理大臣を本部長とする障害者対策推進本部によって、“地域で共に生活する”“社会的自立を促進する”“バリアフリー化を促進する”“生活の質(QOL)の向上”“安全な暮らしを確保する”“心のバリアを取り除く”“我が国にふさわしい国際協力・国際交流”という7つの視点で、施策の推進を図ることを目的に策定されました。


障害者プランは保健福祉だけでなく、教育、生活環境、交通、雇用、情報通信、防犯・防災など、幅広い分野にわたっていることから、関係する省庁が19省庁におよび、その省庁が連携していくことで、施策を実行していくものとなっています。


障害者プランの特徴は?

障害者プランの特徴として、ホームヘルパーの増員やグループホーム・デイサービスといった福祉施設の整備等、障害者の生活を支える事業において、具体的な数値目標が明記されたことがあげられます。


また、ノーマライゼーションを実現するために、市町村を中心としたサービス体系を再編すること、障害者の年齢を踏まえたプランを作成し、効果的に施策を実施すること、進捗状況を定期的にチェックすることにより、社会情勢の変化や関連法の改正に応じてプランを見直していくことなどが定められました。


地方公共団体では、その地域の特性に応じて障害者プランを実施していくための支援を積極的に行っていくこと、そして、障害者の意見を適切に反映することができるように、地方障害者施策推進協議会の設置が進められました。


共生社会の実現を目標に、新障害者プランを策定

平成14年度に障害者プランは最終年度を迎えましたが、平成15年度から平成19年度の5年間に達成する目標を定めた新障害者プランが平成14年12月24日に、新たに策定されました。


新障害者プランは新障害者基本計画で掲げられた“共生社会”の実現を目標とし、障害がある方の社会参加を促進するとともに、福祉サービスやバリアフリー化を促進するなど、自立に向けて基盤を整備することとなっています。

計画で予定されていた10年は経過しましたが、各都道府県・市町村で、その取り組みは続いています。