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介護職ができる医療行為とは?【2025年最新版】厚労省ガイドラインで明確化された範囲と注意点

介護職ができる医療行為とは?【2025年最新版】厚労省ガイドラインで明確化された範囲と注意点

介護現場では、爪切りや耳掃除、点眼など、日常的に行われるケアの中に「医療行為」に該当するものが含まれる場合があります。

しかし、どこまでが介護職の業務範囲で、どこからが医療職の専属領域なのか、現場で迷うことも少なくありません。


2025年5月、厚生労働省が発表した最新のガイドラインでは、「原則として医行為に当たらない行為」とその実施条件が明確に示されました。

これにより、介護職が安全かつ適切に行えるケアの範囲が整理され、現場での不安やトラブルの軽減が期待されています。


本記事では、最新の通知内容をもとに、介護職が実施可能とされる行為一覧や、実施の際の条件・注意点をわかりやすく解説します。

これから介護職を目指す方や、現場で判断に迷っている方はぜひご一読ください。




【 目 次 】

  • 1. 医療行為とは?介護職との関係を整理しよう
  • 2. 【最新2025年版】介護職が実施できるケア一覧
  • 3. 医療行為と判断されるケアとは?注意が必要なケース
  • 4. 実施時の注意点と医療職との連携のポイント
  • まとめ:ガイドラインを正しく理解し、安全なケアを提供しよう




1. 医療行為とは?介護職との関係を整理しよう


介護現場では、日常的に多くのケアが行われています。その中には、医療行為にあたるものと、そうでないものがあります。


まずは「医療行為とは何か」、そして「介護職がどこまで関われるのか」を整理しておきましょう。


● 医療行為とは?

医療行為とは、医師や看護師などの医療資格を持つ専門職が行う、診断・治療・処置などの行為を指します。


たとえば:

  • 注射や点滴の実施
  • カテーテルの挿入
  • 創傷や褥瘡の処置
  • 吸引や投薬(経口・経管)


これらは、利用者の身体に直接作用し、状況によっては命に関わるため、高度な知識と判断力が求められます。


● 介護職が行うケアとの違い

介護職が担当するのは、主に日常生活の支援や身体介助です。


具体的には、以下のような業務が中心です:

  • 食事・排泄・入浴の介助
  • 移動や着替えのサポート
  • 見守りや会話、生活環境の整備


ただし、こうしたケアの中には、医療行為に近い行為やグレーゾーンも含まれることがあります。


● 医療行為と介護行為の線引きが難しい理由

介護職が行っても問題ないケアと、医療職でなければ行えないケアの境界線は、利用者の状態や行為の内容によって大きく変わることがあります。

例:

  • 爪切り → 健常な爪なら介護職OK / 巻き爪や感染リスクがある場合は医療行為
  • 髭剃り → 電動シェーバーはOK / T字カミソリはNG


そのため、現場ごとに判断が分かれやすく、トラブルのもとになることも少なくありません


● 最新の厚労省ガイドラインが登場(2025年)

このような混乱を防ぐため、厚生労働省は2025年に新たなガイドラインを公表しました。


この中では、

  • 介護職が実施できる行為
  • 医療職でなければならない行為
  • 実施可能な条件や例外ケース


などが、より明確に整理されています。


◎ ポイント

  • 医療行為=医師・看護師などの専門職が対応すべきケア
  • 介護職=日常的な生活支援を主な業務とするが、条件付きで医療的ケアが可能なケースもある
  • 2025年ガイドラインでは、「介護職が実施できるケアの範囲」がより分かりやすく整理されている


次の章では、実際に「介護職が実施できる行為」について、一覧でご紹介します。




2. 【最新2025年版】介護職が実施できるケア一覧


2025年に改訂された最新の厚労省ガイドラインでは、介護職が行えるケアの範囲がより明確に示されています。

ここでは、爪切りや耳垢除去、髭剃り、軟膏塗布、点眼、吸引など、具体的に介護職が実施可能な医療的ケアについて解説します。

また、「原則OK」と「条件付きOK」の違いもわかりやすく整理します。


介護職が「原則OK」で実施できるケア

以下のケアは、医療行為に該当せず、介護職が原則として安全に実施できるものです。

  • 通常の爪切り

 巻き爪や皮膚損傷のリスクがない場合に限り実施可能です。


  • 耳垢の除去

 目視できる範囲で、安全な方法であれば行ってよいとされています。


  • 電動シェーバーでの髭剃り

 皮膚に異常がなく、出血リスクが低い場合に使用可能です。


  • 体温・血圧・脈拍の測定

 日常の健康管理として、医師の指示がなくても介護職が測定可能です。


条件付きで実施できるケア

以下のケアは医師の指示や利用者の状態確認、または介護職の研修修了などの条件が整った場合にのみ実施できます。

  • 点眼薬の点眼

 医師の指示があり、利用者の状態が安定している場合に限り可能です。


  • 軟膏の塗布

 医師の指示があり、容体が安定しているときに実施できます。


  • 座薬の挿入

 排便コントロールのためなど医師の明確な指示と、利用者の状態が安定している場合に限られます。


  • 酸素チューブの着脱

 酸素の流量調整が不要で、医師の指示がある場合に対応可能です。


  • 口腔内の吸引

 喀痰吸引等研修の修了者が、利用者の状態が安定している際にのみ行えます。


「原則OK」と「条件付きOK」の違いとは?

  • 原則OKは、介護職が安全に実施できるとされ、特別な医師の指示や研修が不要な行為です。日常ケアの範囲内でリスクが低いものが該当します。
  • 条件付きOKは、医師の指示や利用者の状態の安定、または介護職の専門研修の修了が必須です。医療的リスクが少なからず存在するため、慎重な対応が求められます。


まとめ

2025年版のガイドラインは、介護職が実施できるケアの範囲を具体的に示し、安全と法令遵守を両立するための指針となっています。

日常ケアの中で無理なく医療的ケアを取り入れ、適切な連携体制のもとで利用者の安心・安全を守りましょう。




3. 医療行為と判断されるケアとは?注意が必要なケース


介護現場で行われるケアの中には、医療行為と判断されるものがあり、介護職が独自に実施することはできません。

ここでは、T字カミソリでの髭剃りや巻き爪の処置、鼻腔吸引、褥瘡(じょくそう)処置など、特に注意が必要なケースをわかりやすく解説します。

また、どのようなラインで医療職に依頼すべきかの目安も示します。


医療行為とされる主なケア

  • T字カミソリによる髭剃り

 皮膚を傷つけるリスクが高いため、介護職が行うことはできず、医療職による対応が必要です。


  • 巻き爪や変形爪の処置

 出血や感染のリスクがあるため、医療行為に該当します。専門的な医療職の対応が必須です。


  • 鼻腔吸引

 気道の奥に関わるため高度な技術が必要であり、介護職の業務範囲外とされています。


  • 褥瘡(じょくそう)処置

 創傷管理や感染予防が重要で、医療職の指示と管理のもとで対応すべきケアです。


介護職が医療職に依頼すべきラインの目安

以下のような状態やケアは、介護職が判断に迷った場合、速やかに医療職へ相談または依頼することが推奨されます。

  • 利用者の皮膚に傷や出血が見られる場合
  • 痛みや炎症が強い爪や皮膚の異常があるとき
  • 吸引が鼻腔や気管を対象とする必要がある場合
  • 褥瘡が悪化している、または新たにできている場合
  • 医師の指示がない、または不明確な場合


ポイント

医療行為と判断されるケアは、利用者の安全を守るうえで特に慎重さが求められます。

介護職が単独で実施すると法的問題や利用者の健康リスクにつながるため、必ず医療職と連携し、適切な対応を心がけましょう。




4. 実施時の注意点と医療職との連携のポイント


介護職が医療的ケアを行う際には、ただ技術を身につけるだけでなく、利用者の安全を第一に考えた観察や記録、そして医療職との適切な連携が不可欠です。

ここでは実施時の注意点と、医療職と円滑に連携するためのポイントを解説します。


状態観察と記録の重要性

介護職はケアの実施前後で利用者の状態をしっかり観察し、変化がないかを確認することが必要です。

発熱や呼吸困難、皮膚の異常など、わずかな変化も見逃さず、適切に記録しましょう。

これにより、早期発見や医療職への報告がスムーズになります。


医師の指示確認

医療的ケアを行う際には、必ず医師の具体的な指示を確認することが大切です。

特に「条件付きOK」とされるケアでは、指示内容が曖昧だとリスクが高まるため、疑問点があれば必ず医療職に確認してください。


喀痰吸引等研修と研修修了者の扱い

口腔内吸引などの医療的ケアは、「喀痰吸引等研修」を修了した介護職員が行うことができます。

研修修了者は知識と技術を習得していますが、利用者の状態に応じて慎重に判断し、必要に応じて医療職と相談することが求められます。


医療職との連携ポイント

  • 情報共有を密に

 利用者の状態やケア内容を看護師や医師に正確に伝えましょう。


  • 疑問や異常は即報告

 少しでも違和感や異常があれば、すぐに医療職に相談してください。


  • チームで安全なケアを

 介護職と医療職が協力することで、利用者にとって最適なケアが提供できます。


まとめ

医療的ケアの実施は介護職にとって大きな責任を伴いますが、観察・記録・連携を徹底することで安全性が高まります。

常に利用者の状態を把握し、疑問があれば医療職に相談する姿勢を大切にしましょう。




まとめ:ガイドラインを正しく理解し、安全なケアを提供しよう


介護現場での医療的ケアに関するルールは、年々見直され、より明確になってきています。

2025年版の最新ガイドラインでは、「介護職ができること」と「医療職でなければできないこと」が具体的に示されており、安全で根拠のあるケアの提供が求められています。


「原則OK」な行為でも、利用者の状態や環境によってはリスクが高まるケースがあります。

また「条件付きOK」のケアについては、医師の指示や状態安定の確認、さらには研修の修了など、いくつかの要件を満たす必要があります。


介護職が医療行為に踏み込まないことは、単なるルール遵守ではなく、利用者の健康と尊厳を守るための基本姿勢です。

わからない点や判断に迷う場面では、遠慮せずに看護師や医師などの医療職に相談し、チームで支える姿勢を持つことが何より重要です。


正しい知識と丁寧な観察、そして確かな連携を通じて、介護職が担うケアの質と安全性は確実に高まります。

ガイドラインを理解し、無理のない範囲でできるケアを実施することで、利用者にとって安心できる日常を支える力となるでしょう。

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