これまで訪問介護事業所では技能実習や特定技能の外国人労働者が働く事はできませんでした。
しかし、介護職員の確保が難航する中で政府は訪問介護事業所でも外国人労働者が働くことが出来るよう、これまでも要件を踏まえて解禁を検討してきました。
今回はそうしたこれまでの流れや新たに決まった内容をご紹介します。
【 目 次 】
- 訪問介護で技能実習や特定技能外国人が働けない理由
- 解禁に向けたこれまでの動き
- 2025年4月から訪問介護で外国人の労働が解禁!?
訪問介護で技能実習や特定技能外国人が働けない理由
2025年3月現在、外国人が介護職として訪問介護事業所で働くためには、介護福祉士の資格を取得している必要があり、EPAの介護福祉士か、介護ビザを取得されている必要があります。
技能実習生や特定技能の枠組みで就業されている方は、介護施設では就業できるものの、訪問系のサービスを行う事はできません。
技能実習生や特定技能の方が訪問介護で就業できない理由としては、指導体制の不安や利用者、技能実習生双方の人権擁護、コミュニケーション能力の関係から、対象として含まない事と言われています。
すべての介護サービスを提供可能な資格
・EPA
3カ国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)との協定で、現地の介護福祉士候補者の受け入れを実施。訪問介護で働くためには介護福祉士の取得が必須。
・在留資格「介護」
通称介護ビザ。日本の介護福祉士養成学校を卒業後に介護福祉士を取得。
訪問介護等一部のサービスを提供できない資格
・技能実習
一定期間(最長5年)限定で受け入れ、OJTを通じ技術を学んでいただく制度。
・特定技能
人材確保が困難な産業において一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度。(最長5年)
解禁に向けたこれまでの動き
政府はこれまでも、訪問介護で技能実習生や特定技能の方が働けるよう動いてきました。
現在も介護職不足は話題に上がりますが、2040年には57万人の介護職が不足するとされ、今後更なる人材不足が予想されています。
そうした流れもあり、2024年6月には厚生労働省で開かれた有識者会議で、解禁に当たって必要な5要件をクリアすれば、技能実習生や特定技能の方が訪問介護で働けるようにする方向性を固めています。
【解禁の5要件】
①研修内容に日本人の生活様式を含み、基本的なコミュニケーションや訪問介護や介護の基礎知識を盛り込む事。
②サービス提供責任者の一定期間同行OJTを行う事。
③外国人のキャリアアップ計画を作成し、丁寧に説明する事。
④ハラスメント対策を講じ、マニュアルの作成や周知徹底をする事。
⑤ICT活用を含む環境整備。
2025年4月から訪問介護で外国人の労働が解禁!?
政府は2025年2月26日、自民党の合同会議で4月から技能実習生や特定技能の方が訪問介護で働くことを認めた。
今後は、閣議決定やパブリックコメントを通過して正式に決定する方針です。
ただし、条件としては介護事業所や施設での介護経験が1年以上で初任者研修以上の資格がある方が対象となる。
更に訪問介護等の事業所には、必要な義務を課す方針です。
- 訪問系サービスの業務の基本事項などに関する研修を行う
- 一定期間、責任者らが同行するなど必要な訓練を行う
- 外国人に業務内容などを丁寧に説明して意向を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成する
- ハラスメント対応のため相談窓口の設置などを進める
- 不測の事態が生じた場合も適切に対応できるよう、必要なICT環境を整備する
今回の方針を受けて、訪問介護の事業所での人材不足が少しでも解消される事が望まれます。
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