政府は2024年の介護報酬改定の一本化に伴い、来年3月までに処遇改善加算の移行支援を検討しています。
この新制度の目的は職員の処遇改善に対する評価を見直し、適切な報酬を確保することです。
移行支援には介護事業者が新制度に対応できるよう、運営や報酬管理の助言や研修を行うことが含まれます。
要するに介護職員の処遇向上と人材定着を図り、業界全体の労働環境改善を目指す狙いがあるということです。
今回は新たな処遇改善加算の移行支援について、詳しく解説していきましょう。
目次
2024年改正で処遇改善加算が一本化へ
移行支援策を検討する経緯
移行支援策とは
2024年改正で処遇改善加算が一本化へ
処遇改善加算とは、介護職員の給与や職場環境の改善を目的として国から事業所に支給されるお金のことです。
介護業界の人手不足を解消するために導入され、介護職員の定着率向上にもつながっています。
2024年度の報酬改定で処遇改善加算が一本化されます。
これまで、「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」と3つの加算制度が用意されていましたが、
2024年6月より「介護職員等処遇改善加算」という形に一本化されたのです。
そもそも処遇改善加算は、介護業界の人手不足を改善するために設けられました。
少子高齢化が進む日本では介護サービスのニーズが増大していますが、介護報酬は上限が定められているため職員の給与を上げにくく人材確保が業界全体の大きな課題となっています。
このような状況を受け、職員の賃金改善や職場環境の整備のために3つの加算が順次設けられ、2024年度の介護報酬改定で統合されました。
移行支援策を検討する経緯
第233回社会保障審議会介護給付費分科会で示されたこの支援策は2024年6月から実施されました。
人手不足を解消するためには、給与の増額をはじめとした職員の処遇改善が欠かせません。
・事業者の賃金改善や届出に係る事務負担を軽減する
・ご利用者さま負担の理解を得やすくする
・柔軟な事業運営を可能にする
上記の3点の観点で処遇改善加算の一本化は検討され、そのなかでも重視されたのが届出に係る事務負担の軽減です。
旧加算のなかでも介護職員等特定処遇改善加算はとくに手続きが複雑であり、ほかの2つの加算制度の取得率が9割を超えているのに対し同加算の取得率は7割台にとどまっていました。
そこで、介護職員等の確実な待遇改善に向けて制度を簡素化すべく新加算が創設されたのです。
移行支援策とは
処遇改善加算の移行支援策として介護事業所・施設への調査を実施し、事業所・施設の対応状況や進捗を把握しています。
調査結果をもとに新たな処遇改善加算の算定率の向上に向けた検討が行われ、必要に応じて事業所・施設に対する支援策が講じられる予定です。
処遇改善加算の一本化は事業者の事務負担の軽減や利用者からの理解の得やすさ、事業者の柔軟な事業運営を目的としています。
新処遇改善加算を配分する際の基本的なルールは次のとおりです。
・加算の総額以上の賃金改善をする
・前年度と比べた加算増加分以上の賃金改善をする
・加算以外の部分で賃金を下げない
また、介護職員等処遇改善加算はすべての介護サービスが算定できるわけではありません。
基準上、介護職員が配置されていない以下のサービスは加算を受けられないためご注意ください。
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
・介護予防訪問看護
・介護予防訪問リハビリテーション
・介護予防居宅療養管理指導
・介護予防福祉用具貸与
・特定介護予防福祉用具販売
・居宅介護支援
・介護予防支援