2024年の最新統計によると、居宅介護支援事業所数は6年連続で減少してることがわかりました。
2023年度には3万6459件と前年から約2%も減少しています。
この減少は主に人材不足が原因と言われていますが、その中でも特に主任ケアマネジャーの確保が難しくケアマネジャーの高齢化も深刻化しています。
事業所の規模は中規模化・大規模化が進んでいる一方で事業所数としては今後さらに減少する可能性があります。
今回はこの背景について詳しく解説していきましょう。
目次
6年連続で居宅支援事業所が減少
主任ケアマネ確保の現状
地域包括支援センターでは要件の見直しの検討も
6年連続で居宅支援事業所が減少
冒頭でもお伝えした通り、居宅介護支援事業所の数は6年連続で減少しています。
厚生労働省が7月31日に公表した最新の統計によると、今年4月審査分の居宅介護支援の請求事業所数は3万6459件です。
前年同期から738件(約2%)少なくなったことになります。
居宅介護支援の請求事業所数がピークだった2018年からの減少幅は3606件となっており、減少は6年連続で毎年少しずつ減っていくトレンドが長期化しているのです。
減少している原因としては特に支援専門員(ケアマネジャー)の人材不足が主な課題とされています。
多くのケアマネジャーが高齢化により退職減少しており、後継者不足が本格化していることが考えられます。
ただ一方で、居宅介護支援の利用者数や給付費は今も伸び続けており、在宅介護サービスの需要は増えています。
現場で働くケアマネジャーは減少していることから、1人あたりの担当件数が以前より増えているとみられ、現場の負担がより一層深刻化していることが考えられます。
主任ケアマネ確保の現状
居宅支援事業所の減少の主たる原因といわれているケアマネの確保について説明します。
日本介護支援専門員協会はケアマネジャーの人材不足の実態を明らかにする調査の結果を2024年4月に発表しました。
それによると「ケアマネの採用は以前より難しくなったか」という質問をケアマネに尋ねたところ、78.3%が「困難になっている」と回答しました。
特に主任ケアマネの採用については、68.1%が「困難になっている」と答えていたことが明らかになりました。
つまり介護事業所における主任ケアマネ確保の現状としては深刻な状況だと言えるでしょう。
そこで日本介護支援協会はケアマネの人材確保に向けた施策として、ケアマネの業務の専門性や重要性に見合った賃金の改善を主張をしています。
「少なくとも民間の平均年収と同等以上の収入を得られる必要がある」と訴えています。
また、更新研修も含めたケアマネの負担軽減も必要と提言し業務の範囲・責任の明確化を図ることも求めています。
地域包括支援センターでは要件の見直しの検討も
2023年12月、厚生労働省は2024年以降、地域包括支援センターのケアマネジャーの要件を改定する計画を発表しました。
具体的には2024年度から、地域包括支援センターに配置できるケアマネジャーの要件を拡大するということです。
現在、地域包括支援センターには主任ケアマネジャーかそれに「準ずる者」を置くルールとなっています。
要件を満たしていれば、主任でないケアマネジャーが活躍することも認められています。
「準ずる者」とは、既存の「ケアマネジメントリーダー研修」を修了しており、一定の実務経験を有するケアマネジャーなどが対象となっています。
2024年度からのケアマネ配置要件の「準ずる者」の範囲の拡大に踏み切ります。
将来的に主任ケアマネジャーを目指す意思があり、5年以上の実務経験を積んでいるケアマネジャーであれば特定の研修を受けていなくても地域包括支援センターで働けるようにするとされています。
これらの対策は、主任ケアマネジャーの不足に対応していくことが狙いです。
今後のケアマネジャー及び事業所減少の問題が解決に向かうのか、引き続き着目していきましょう。