今年、介護職の離職率が2007年以降で最も低い水準を記録し、全産業平均を下回りました。
介護業界では高い離職率が課題となっていましたが、働き方改革や待遇改善の成果が現れた形です。
特に柔軟な勤務体制の導入や処遇改善加算の効果が離職防止に寄与していると考えられています。
今後も安定した人材確保と、さらなる働きやすい環境整備が求められているなか、介護職の離職率について解説していきます。
目次
介護職の離職理由とは?辞めやすい理由とは?
介護職の離職対策としてどんなものがあるか
全産業平均より介護職の離職率が低くなる
介護職の離職理由とは?辞めやすい理由とは?
ここ15年ほどの介護職の離職率の推移を見ていくと、2007年の21.6%をピークにして、徐々に下がってきています。
ピーク時の2007年と2020年を比較すると、離職率は実に6.7ポイント低下し、徐々に離職率が低下していることがわかります。
介護職が離職する原因で特に多い3つを紹介します。
●人手不足と身体的な負担
介護業務は身体的にハードなうえ、慢性的に人材不足が顕著な業界です。
そのため、業務量過多が負担となり原因で辞める人もいます。
●成長の機会の不足
スキルアップやキャリアパスの選択肢が限られていると感じると、他の職種への転職を考えることが多くなります。
特に規模の小さい施設では役職へのキャリアアップが難しい場合もあります。
将来的に賃金が上昇することも期待できず、このまま介護職を続けることに不安を感じて辞めてしまうケースが多いようです。
●施設内の人間関係のストレス
介護の仕事はチームで対応する業務が多いため、複数の人間とコミュニケーションを取りながら進める必要があります。
業務のやりかたの違いや行き違いなどが原因で、人間関係がこじれてしまうケースも少なくない職場です。
介護職の離職対策としてどんなものがあるか
介護職の離職を減らすためには、多角的に業務改善を行うことが必要になります。
具体的には以下のような対策が挙げられます。
■キャリアパスの明確化
・昇進・昇給制度の整備: 明確なキャリアパスや昇進・昇給の機会があることで、将来に希望を持てます。
・スキルアップの支援: 研修や資格取得の支援を行うことで、スキル向上を促し、自信を持って働くことができます。
■.職場の雰囲気や文化の改善
・ポジティブな職場文化の促進: 職場の人間関係が良好で、チームワークが取れている環境は、長く勤務しやすくなります。
・リーダーシップの質向上: 管理職やリーダーが職員に対して公平であり、常にサポートできる人材であることで職員が勤務しやすくなります。
■ 職場環境の改善
・人員の充実: 介護職員の負担を軽減するために人員の充実が必要です。
・休暇の取得推奨: 定期的な休暇を取りやすい環境を整えることで、職員の肉体的および精神的な健康とモチベーションの向上、離職率の低下につながります。
全産業平均より介護職の離職率が低くなる
2024年7月に公表した最新の「介護労働実態調査」では介護職員の離職率が過去最低を更新し、全産業平均を下回ったことがわかりました。
2023年度の介護職における離職率は13.1%で、全産業の平均は15.0%(2022年雇用動向調査)であり、「介護職員は離職率が高い」というのは過去の話になったことが伺えます。
また、離職率が低下傾向にある事業所・施設にその理由を尋ねたところ、下記のような結果が得られました。
・職場の人間関係がよくなったため」=63.6%
・残業削減、有休の取得促進、シフトの見直しなどを進めたため=45.6%
・ 賃金水準が向上したため=36.3%
・仕事と家庭の両立の支援を充実させたため=36.1%
そういった一方で、離職率に事業所間の差があり、今後の動向に注目が集まっています。