介護職で就職・転職を考えている人にとって気になることのひとつに離職率があると思います。
離職率が高いと、安定して働けるのか不安と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
逆に離職率が低い職場について調査した結果、良好なコミュニケーション、働きやすい環境など共通する特徴が見られました。
今回は人が辞めない職場とは何かを解説していきます。
目次
介護職の離職率
離職の原因とその対策
離職率が低下傾向の事業所とその理由
介護職の離職率
■介護の離職率は他業種と比べて高いのか
日本における介護職の離職率は、他の職種に比べて比較的高い傾向にあると言われています。
「介護労働実態調査」(令和4年度)の調査によると、以下の結果が出ています。
26.8% 宿泊業、飲食サービス業
18.7% サービス業(他に分類されないもの)が、生活関連サービス業、娯楽業
14.3% 訪問介護員・介護職員・にサービス提供責任者を加えた3職種
全産業を合計した平均の離職率は13.9%という結果になっています。
そのため、介護職が特に高いわけではなく、全産業と比べてもほとんど差がないと言っていいでしょう。
■近年の傾向について
介護の離職率は平成19年度の21.6%をピークに、緩やかに下がっています。
2012年度には全産業の平均離職率との差が3.0ポイントあったのに対し、2022年度は全産業の離職率よりも0.6ポイント下回っています。
要するにここ10年で介護職の離職率は非常に改善していると考えられるのです。
離職の原因とその対策
■離職の原因について
介護職の離職の原因については以下のようなデータがあります。
1位 職場の人間関係に問題があったため (18.8%)
2位 結婚・出産・妊娠・育児のため (16.9%)
3位 自分の将来の見込みが立たなかったため (15.4%)
4位 収入が少なかったため (14.9%)
5位 他に良い仕事・職場があったため (13.9%)
介護業界は施設勤務のほか訪問介護など、職場によってさまざまな人間関係で悩む人が多いです。
■離職対策について
介護職の離職について国はいくつかの対策を施しています。
①介護福祉士等修学資金貸付制度
介護福祉士や社会福祉士を目指し養成施設で学ぶ方に対し、修学資金を無利子で貸付しています。
介護福祉士や社会福祉士として一定の期間勤務した場合、修学資金の返済は免除されます。
②介護職員処遇改善加算
「キャリアパス要件 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」「職場環境等要件」を満たした介護職員に給与が加算される厚生労働省の制度です。
最高額の「加算Ⅰ」は「キャリアパス要件 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」全てと「職場環境等要件」を満たす職員が対象で、月額37,000円が加算されます。
③再就職準備金貸付事業
この制度は厚生労働省の定める条件を満たし、かつ介護職に再就職したい方に対して再就職の準備のために400,000円以内の額を貸付するものです。
貸付を受けて介護職の業務に2年間従事すると貸付分が全額免除されます。
離職率が低下傾向の事業所とその理由
■離職率が低下傾向の事業所とは
介護労働安定センターが2024年7月10日に最新の「介護労働実態調査」結果を出しました。
昨年度の介護職員の離職率が、データを確認できた2007年度以降の最低を更新したことが話題となっています。
その中で、「離職率が低下傾向にある」と答えた事業所にその理由を尋ねたところ、「職場の人間関係がよくなったため」が63.6%で最多でした。
険悪に扱われない空気がある事をあげた方が多かったことがわかりました。
■離職率を下げる具体的な施策とは
また上記の結果で、早期離職の防止・定着の促進に取り組んでいる事業所が取り組んでいる施策も明らかになりました。
・「仕事の内容は変えずに、労働時間や労働日を本人の希望で柔軟に対応している」52.5%
・「 残業削減、有給休暇の取得促進、シフト見直しなど」44.8%
・「 賃金水準の向上」44.4%
・「仕事と家庭(育児・介護)の両立を支援する休業・休暇・短時間労働などの法制度の活用」43.6%
・「託児所の設置や保育費の支援など独自の子育て支援策」42.1%
上記のように介護職員が長期的に安定してやりがいを持って勤務できるよう柔軟な対応を施策を行っている事業所が多いことがわかりました。