介護業界の中で人員不足が大きな課題になっていることは周知の事実ですが、具体的には2025年には約37万人、2035年には約79万人の不足が予想されています。
そのなかで技能実習生や特定技能外国人などの外国人材の受け入れが急速に進んでいることをご存じですか?
皆さんの職場でも外国人技能実習の受け入れをしている職場も多いかもしれません。
本記事では「外国人技能実習」について、その背景と今後について考察していきたいと思います。
目次
介護業界が外国籍の方を受け入れる理由
現在のガイドラインとは
厚生労働省の今後の方針
介護業界が外国籍の方を受け入れる理由
外国籍の方を受け入れる理由は大きく分けて2つが考えられます。
■技能実習制度
日本政府が導入した技能実習制度を通じて、介護分野でも外国籍の方々が技能を学びながら働くことができるようになっています。
介護職種での技能実習生受入れに当たっての要件は、2015年2月4日の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」の内容に沿って設定されました。
これにより、技術や知識を持った介護人材を確保することが可能となりました。
■人手不足の解消
日本では高齢化が急速に進み、介護が必要な人口が増加しています。
しかし、介護人材の供給が追いつかず人手不足が深刻化しているのが現状です。
外国籍の介護労働者を受け入れることで、労働力の確保しようとする動きが国全体出てきています。
こういった背景により介護業界は外国籍の方を受け入れる流れとなっています。
現在のガイドラインとは
外国人技能実習の介護事業所受け入れに関するガイドラインは、以下のような基準や要件があります
①介護技能実習生の受け入れ条件
介護技能実習生を受け入れるには、まず日本国内での実習計画を策定し厚生労働大臣に届け出る必要があります。
また、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)以上の資格を持つことが求められます。
②介護事業所の適格性
介護事業所は厚生労働省によって認定された特定非営利活動法人(NPO法人)介護福祉士会、介護老人福祉施設協会などの団体に加盟していることが望ましいです。
また、人材育成や技術向上のための取り組みを実施していることが求められます。
また、条件は開設後3年以上経過していることとなっています。
③実習生の保護と指導
実習生の保護と指導については介護事業所が適切な研修プログラムを用意し、実習生の健康管理や労働環境の安全確保を行う必要があります。
また、日本語教育や文化理解のための支援も重要です。
④労働条件の遵守
実習生の労働条件は日本の労働基準法に基づいて適切に管理される必要があります。
労働時間、賃金、休日などに関する法的な基準を守ることが求められます。
⑤実習生の安全と保護
実習生の安全と保護には事業所が適切な職場環境を提供し、健康診断や労災保険の加入を含む安全対策を実施することが必要です。
厚生労働省の今後の方針
上記のようなガイドラインのある外国人労働者の受け入れについて、より間口を広げるために厚生労働省は技能実習の枠組みで来日した外国人を受け入れる介護事業所・施設の要件の一部を緩和する方針を進めています。
緩和されるのは上記②の「開設後3年以上経過していること」が条件の部分です。
開設後3年以上経過していなくても、次のどれかを満たしていれば受け入れられるようにする方針となっています。
①事業所ではなく法人の設立から3年以上経過している場合(法人要件)
②同一法人による以下のようなサポート体制がある場合(サポート体制要件)
③ 外国人向けの研修体制とその実施が確保されている
・ 外国人、働いている事業所の職員、ご利用者さまなど向けの相談体制がある
・ 外国人を受け入れることについて、事業開始前に職員や利用予定のご利用者さま・家族向けの説明会などが開かれている
・ 外国人の受け入れについて、法人内で協議できる体制が設けられている
事業所にとって技能実習の外国人を受け入れやすい環境を整える狙いがあると考えられています。
この緩和条件がどう具体的になっていくのか、今後も注目していきましょう。