ほとんどの介護の仕事をしている方が経験する人の死。
「死」は誰にでも平等にやってきます。
高齢化社会が進む現代では「看取り介護」は重要性が高くなっており、需要は多くなる一方です。
この記事では、看取りケア、ターミナルケア、緩和ケア、エンゼルケアなど介護で関わる看取り介護についてご紹介していきましょう。
目次
看取りケアとは
ターミナルケアと緩和ケア
エンゼルケアについて
看取りケアとは
看取りとは、「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」と定義されています。
目的は死が避けられない状況の人に対し、最期を迎えるそのときまで食事や排せつの介護といった日常生活のケアをすることで、人としての尊厳を残したままの生活を支援することです。
そのため鼻から管を通し、点滴を打つような医療行為や治療による延命は看取りには含まれません。
「看取りケア」は、死期の近づいた人が、人生の最期を自分らしく穏やかに迎えられるよう、苦痛やストレスをできるかぎり少なくして生活の質を高めるための介護のことです。
医師の指示に従って痛みを和らげる方法をとり、安らかに自分らしい最期を迎えることを支援します。
ターミナルケアと緩和ケア
看取りと似たようなものと考えられがちなケアに「ターミナルケア」や「緩和ケア」があります。
看取りとどう違うのか、詳しく見ていきましょう。
■看取りケア
主に自宅や介護施設で、近い将来最期を迎える人に対して行われる介護を中心としたケアのことを言います。
■ターミナルケア
「終末期医療」や「終末期看護」と呼ばれる死期が近くなった人に対して、行われる医療を中心としたケアのことです。
病気の症状による苦痛や不快感をやわらげることを目的とし、残された生活の充実を優先させます。
■緩和ケア
患者さんの身体的・精神的な苦痛をやわらげるための医療的なアプローチのことを言います。
死ぬことを自然の過程と認め、死を早めたり引き伸ばしたりしません。
大きな特徴として、がんをはじめとした病気の治療と並行して行われ進行とは関係なく、診断されたその日から開始することがあります。
医師や看護師のみならず、薬剤師や栄養士、医療ソーシャルワーカー、福祉関係者といったチームで取り組むものです。
最期を意識して行うケアである看取りとは違い、終末期に限らず行われます。
エンゼルケアについて
最後にエンゼルケアについて説明します。
エンゼルケアとは日本語に訳すと「死後処置」のことで、亡くなった方に対しておこなう死後の処置のことです。
身体を清潔にし、化粧(エンゼルメイク)や更衣で見た目を整えるケアで、エンゼルケアは看取りケアの一環でもあるという考えもあります。
エンゼルケアの目的はいくつかあります。
①故人の尊厳を守る
ご遺体をきれいに整え、生前のその人らしく整えることは故人の尊厳を守ることにもつながります。
②遺族のグリーフケア
元気だったころの面影がなくなってしまった故人の姿にさらに悲しみを深くする遺族は少なくありません。
ご遺体をきれいに整えることは遺族への配慮でもあります。
③感染症予防
ご遺体は死後時間の経過とともに硬直や腐敗が進むためエンゼルケアは死後2〜3時間以内におこなうことが推奨されています。
体液や排出物などの流出によって遺族やスタッフへの感染を防ぐためにも、適切な処置をすることが大切です。
人生の終焉を迎える人が自分らしく尊厳をもった最期を迎えられるよう看取り介護に関わってくださいね。