厚生労働省は要介護認定審査会のオンライン化を2022年に導入したのをご存じでしょうか。
キッカケは新型コロナウイルス感染拡大の際に一時的に導入されたものですが、政府は2024年5月31日、一部の方を対象に認める通知を発出しました。
特例措置を恒久化し、市町村や関係者の負担軽減を図るとともに審査業務の効率化を目的としています。
今回はこのオンラインについて現状わかっていることをご紹介いたします。
目次
要介護認定の認定調査とは
オンライン化する背景とは
オンライン化の内容と可能になる対象者
要介護認定の認定調査とは
そもそも、要介護認定の認定調査とはどのように行われるのでしょうか?
以下6つのプロセスに整理して考えてみましょう。
要介護認定の認定調査は、介護保険の利用を希望する高齢者がどの程度の介護が必要かを判定するための重要なプロセスです。
①申請
要介護認定を希望する本人または家族が市区町村の窓口で申請
②調査
認定調査員が対象者の自宅などを訪問し心身の状況を詳しく調査
調査内容:日常生活動作、認知機能、社会生活に関する能力などが含まれる
③主治医意見書
調査結果とともに対象者の主治医から提出される意見書も審査に利用される
④一次判定
調査結果と主治医意見書を基にコンピュータによる一次判定
⑤二次判定
一次判定の結果をもとに、市区町村の認定審査会が最終的に判定
審査会は医療・福祉の専門家で構成される
⑥認定
判定結果が申請者に通知され要介護度が決定
この要介護度に基づき、適切な介護サービスが提供される
上記の工程を経て、要介護認定が行われるのですが、今回オンライン化する背景についても見ていきたいと思います。
オンライン化する背景とは
要介護認定のオンライン化の背景は3つの大きな要因が考えられます。
1. 新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、対面での調査が困難になったことで一時的にオンラインでの認定調査が認められました。
高齢者や調査員の感染リスクを低減し、安全を確保するためには有効な手段だったでしょう。
2. 高齢化社会による申請者の増加
高齢化が進む日本では、要介護認定の申請者が急増しています。
これにより認定調査の業務が増大し、現場の負担が大きくなっているのも事実です。
オンライン化により、自治体や関係者の負担を軽減することが期待されています 。
3. 業務効率化と迅速な対応
オンライン化は、移動時間の削減やデータのデジタル処理により、業務の効率化と迅速な対応を可能になります。
決まった人員の中でスピーディーに対応ができると政府の間でも検討が進められているのです。
要介護認定を求める声の増加や効率化、コロナの影響等でオンライン化が進んでいる状況ですが、具体的に対象者が限定されています。
オンライン化の内容と可能になる対象者
オンライン化の内容として、政府から2024年5月31日に以下のような通知がありました。
■入院している末期がん患者らが申請を行った場合の認定調査について、
「保険者の判断で、必要に応じてオンラインで実施して差し支えない」と通知が明記されました。
以下3点が留意点となります。
①認定調査に一定の知見を有する医師・看護師などが同席すること。
認定調査員の指示・指導のもと、申請者の麻痺の状況を確認するなど適切に関与することで、個別の認定調査項目の選択を適切に行うこと。
②認定調査員が、再度の認定調査が不要であると判断すること。
③介護認定審査会が把握できるよう、申請者が入院する医療機関の医師・看護師の関与を得て、オンラインのみで認定調査を実施したことを特記事項に記載すること。
■末期がん患者らの主治医意見書の簡易な作成も認めることについても、「保険者の判断で必要があると認めた場合、様式に定められた項目のうち、疾病名、一次判定に必要な項目、特記すべき事項などに限定したものを受理しても差し支えない」といった通知が明記されました。
今後もオンライン化に向けた政府の動きに注目していきましょう。