介護現場で働くみなさん、フレイルという言葉を聞いたことはありますか?
近年医療現場や介護現場で高齢者に従事する業界では注目されている言葉で、日本では後期高齢者の8.7%が該当しているとも言われています。
高齢者を支える介護現場で勤務する人にとっては知るべき単語の1つではないでしょうか。
本記事ではフレイルの単語説明から原因、対策まで実務に活かせる知識をご紹介します。
目次
フレイルとは
フレイルの原因とは
フレイル対策として
フレイルとは
フレイルとは、日本老年医学会が2014年5月に提唱した比較的新しい概念で、訳すると「虚弱」「老衰」「脆弱」という意味の言葉で、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことを指します。
フレイルは、「健康と要介護の中間的な状態」にあることが特徴ですが、必ずしもフレイルを経て要介護の状態に移行するわけではありません。
高齢者それぞれの状態によって個人差が非常に大きく、適切なアプローチをすることで、健康な状態へ戻ることも可能であり、可逆的に進行することも起こりえる状態となります。
またフレイル自体は非常に不安定な状態です。
特に高齢者はフレイルを発症しやすいことが研究で明らかにされており、加齢に伴う小さなきっかけがもととなり、心身の健康状態を大きく崩してしまう事もある等、注意が必要な状況と言えるでしょう。
フレイルは「身体的」「心理的」「社会的」など3つの側面が相互に影響しながら構成されます。
①身体的フレイル
筋力の低下などから、日常生活における基本動作が低下し転倒等を繰り返す。
また低栄養や、口腔機能低下など。
②心理的フレイル
認知機能が低下し、MCI(軽度認知障害)や、抑うつ、認知症等。
不安感や孤独感、無気力等が出ることも。
③社会的フレイル
社会からの孤立や閉じこもり等、外部との関係を維持できなくなります。
それでは、フレイルになってしまう原因とはどのようなものがあるのでしょうか。
フレイルの原因とは
フレイルは大きな問題として、上記の通り3つの問題を引き起こすとされ、様々な要素を持つため、原因も多岐にわたっています。
身体的要因
・運動や活動量の減少
・体力の低下や持病の悪化
・口腔機能の低下や低栄養
心理的要因
・認知機能の低下による意欲の低下
・抑うつや認知症など
精神的要因
・社会との交流機会の減少など
こうした原因が多重に重なることで複雑化、負のスパイラルとなりフレイルが加速度的に進行する原因となります。
それでは、フレイル対策を行うためにどのような事を心がける必要があるのでしょうか。
フレイル対策として
先述の通り、フレイルには「可逆性」という特性があります。
3つの側面から原因を特定することで、フレイルの進行を遅くし、健康な状態に戻すことが可能です。
特に原因に対応した3つの観点から対策を行う事で、心身の健康を改善することが可能と言われています。
①栄養の接種
1日3食、栄養バランスの取れた食事を心がけ、水分も十分に摂取することが重要です。
②運動
1日あたり、40分を目安に運動をすることで心身の健康や食欲増進につながります。
③社会参加
趣味やサークル活動、ボランティア、就労など、社会との接点を持つことで、気力を養います。
高齢者一人ひとりに応じて様々なフレイルの状況があり、一概にこうすれば対策ができるというものではありません。
だからこそ、常日頃から3つの対策を意識した生活が重要になります。
健康的な生活を続けるためにも、ぜひ生活習慣を今一度チェックしてみていただき「自分は危ないかも。。」という方は予防の取り組みを始められてみてはいかがでしょうか。