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介護現場での認知症による暴力対策と予防策

介護現場での認知症による暴力対策と予防策

介護施設には様々な理由で入居されてる利用者がいらっしゃいますが、「介護=認知症」というイメージを持たれてる方も多いのではないでしょうか。

認知症の主な症状として「暴言暴力」や「ハラスメント」など、働く職員としてどのように利用者と関わっていけばいいのか悩みを抱える方。

そんな方に向けて、認知症による暴力の実態、

また、介護現場での暴力対策と予防策について詳しくご紹介していきます。




目次

介護施設における暴言暴力の実態

暴言暴力が起きる原因

予防・改善方法




介護施設における暴言暴力の実態


介護職員を対象にしたアンケートでは、「利用者からハラスメントを受けたことがある」とする回答した方は全体の40~70%とわかりました。

厚生労働省でも「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」し、職員は参考にするよう呼び掛けています。

暴言暴力と一言でまとめましたが、主に「身体的暴力」「精神的暴力」「セクシュアルハラスメント」の3種類に分類されています。

では具体的な例を挙げてご紹介していきましょう。


■身体的暴力

・叩く、蹴る

・髪を引っ張る

・唾を吐く

・物を投げる


■精神的暴力

・「やってもらって当たり前」と理不尽なサービスを求める

・怒鳴るなど不要に大声を出し高圧的な態度

・嫌味を言ったり不快になるような言動


■セクシュアルハラスメント

・不要なボディタッチ

・執拗に性的な話をする




暴言暴力が起きる原因


では、認知症によって暴言暴力はなぜ起きるのでしょうか?

もちろん全ての認知症に共通してるわけではありません。

ここでは認知症による暴言暴力が起きる原因を4つの事例を挙げてご紹介します。


①脳の機能低下により感情の抑制や制御が難しくなる

認知症は脳の病気なので発症すると脳の機能が低下します。

そのため感情の抑制や、気持ちの表現方法ができなくなることがあります。

「いつもなら我慢できる程度の怒りが押さえられない」など、もともとの人格と変わったり攻撃的な言動になるのは「病気のせい」だと理解することが重要です。


②前頭側頭型認知症によって人格が変化してしまう

穏やかだった人が人格が変わったように攻撃的になるというケースがあります。

前頭側頭型認知症には言語障害や行動の異常の他に、「人格の変化」があげられます。


③脳血管性認知症により感情の失禁が起こる

感情失禁とは感情を上手にコントロールできない状態を指します。

脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症に次いで患者数の多い認知症で特徴的な症状に感情失禁があります。


④身体不良により感情的になってしまう

通常「痛いから薬を飲もう」「体調悪いから病院に行こう」などいう考え方ができますが、認知症の人はその思考がうまくできません。

自分の体調が悪いことをうまく理解できないこと、またそれを周囲に的確に伝えられないこと、

それらにいら立ち、その結果、「暴言や暴力」につながってしまうのです。




予防・改善方法


このように認知症による暴力暴言は、症状の1つであると同時に本質は「不安・混乱・もどかしさ」だと言えます。

暴力暴言の行為を表面的にとらえず、「抱えている不安はなんだろう」と想像することが大切です。

その方の気持ちに寄り添い、「どうしたらその苦しみを取り除けるのか」「どんな環境であれば安心できるのか」などを考えることで予防や改善ができます。

認知症の方はもちろんですが、自分も傷つかないようにするためにまずは認知症を理解し対策することが重要なのです。

ここでも具体的な事例を挙げて予防・改善方法をご紹介します。


・やさしいスキンシップを取り安心感を与える

・助けが必要だと思うときは、まず「助けが必要か」本人の気持ちを確認する

・暴力的態度の前兆がみえたら、なるべく他のことに注意をそらすよう働きかける

・前もって「〇〇するので体に触りますね」など許可を得るようにする

・本人が「やりたい」「できる」ということは極力任せるようにする

・ペースや気持ちに寄り添い、それを尊重する



本人だけではなく介護者の気持ちも尊重することで、双方が笑顔で過ごせるようにしてしたいですね。