介護・福祉業界では慢性的な人材不足が課題となっています。
人材の確保や定着のために、働きやすい労働環境への改善が求められていますが、接待の業務が多く、これまでテレワーク化が難しい業種と考えられていました。
しかし、コロナ禍をきっかけに、リモート会議を利用するなど、オンラインを視野に入れた業務への切り替えも行われています。
今回は介護・福祉業界において導入可能なテレワークの業務や、離職防止対策としてのテレワークの可能性について解説していきます。
目次
テレワークの種類と介護現場での可能性。
介護現場でテレワークを取り入れるメリット。
2024年3月厚労省から示された、テレワークの規定とは。
テレワークの種類と介護現場での可能性。
テレワークとは、職場以外の離れた場所で働くことをいいます。
一般的にはIT関係など、テレワークに向いているとされる職種がありますが、サービス業など対人がメインとなっている業種は、あまり導入されていない場合が多くあります。
特に介護業界ではテレワークには不向きとされています。
テレワークの種類は3つあり、以下の通りに振り分けられています。
①在宅勤務:所属するオフィスに出勤しないで自宅を就業場所とする勤務形態。
②モバイルワーク:ノートPCやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末を利用し、移動中の交通機関内や顧客先、出張先などで就業する労働形態。
③サテライトオフィス:移動や出勤の無駄をなくし、労働生産性の向上や残業時間の削減などを目的とした本社などとは違った小規模な業務の出来る場所で勤務する働き方。
では、介護現場での可能性を踏まえたテレワークが出来る業務を解説していきます。
身体介護などご利用さまと接する必要のある業務は、現状でテレワークにするのは厳しいですが、ご利用さまと接する必要のない業務内容であればテレワークが可能と考えられます。
例えば、事務作業、レセプト業務、職員会議、介護計画書作成、資料作成などがあり、業務効率化を図りながら、テレワーク化を目指している傾向にあります。
介護現場でテレワークを取り入れるメリット。
介護現場でテレワークを取り入れるメリットはどんなものがあるでしょうか?
①業務に集中できる
テレワーク勤務であれば、業務を中断して呼ばれたり、多くの人を同時に介護をする必要がないため、その分、業務に集中して仕事ができるなどのメリットあります。
②間接業務が効率化される
直接業務が多い介護の仕事でも例えば、次のような「間接業務」は必ずしも現場で行う必要がありません。
・サービス担当者会議
・介護計画書の作成・評価
・介護記録や報告書の作成・確認
・職員会議
・職員の管理、マネジメント業務
・レセプト業務 ※市区町村などの保険者に介護報酬を請求する業務
③感染リスクの軽減
介護職員が自宅から業務を遂行することが、施設内での感染リスクを軽減する一助となり得ます。
例えば、感染症が流行している時期において、必要最小限の業務に限定してテレワークを導入することで感染の拡大を防ぐことができるでしょう。
また、オンラインで新人教育・トレーニングやさまざまな研修や会議をおこなうなど、業務効率化を目指したメリットを探ってみるのもいいでしょう。
2024年3月厚労省から示された、テレワークの規定とは。
2024年3月、厚労省は以下のようにテレワークの規定をしました。
「介護事業所等の管理者は、当該介護事業所等の管理上支障が生じない範囲内におい て、テレワークを行うことが可能である。また、当該管理者が複数の介護事業所等の 管理者を兼務している場合にも、それぞれの管理に支障が生じない範囲内において、 テレワークを行うことが可能である。」
テレワークも選択できる業務の具体例としては、事務・書類作成や外部の専門職との連絡調整、家族との面談などになります。
介護職員、看護職員、リハ職らのは原則「テレワークは認められない」と規定されました。
その他のポイントとして
・テレワークではない他の職員に過度な負担が生じないよう留意すること。
・ 各職種の特性も踏まえ、その職種としての責務の遂行に支障が生じる場合には、個別の業務についてテレワークが可能と考えられる場合でも、実施してはならない。
・ご利用さまとの面談・相談やアセスメントの観察などは、相手方の表情や反応を直接確認する必要がある。
ICTを用いた遠隔での面談などは、意思疎通が十分に図れるご利用さまについて、本人・家族の理解を得て行うなど、適切に対応すること。
など注意を促しながらもテレワークを活用しながら介護で勤務する人にとっても介護を受ける側にとってもより良い環境で介護提供ができるようになったと考えられるでしょう。