近年、介護業界における慢性的かつ深刻な人手不足を解消するため、介護助手の導入が進められていることを知っていますか?
老人ホームや介護老人保健施設、デイサービス、病院などの施設で、介護職員のサポートをする介護助手という仕事について、その現状と未来について今回は説明していきたいと思います。
目次
そもそも介護助手とは
特養で6割超の配置。その効果とは
介護助手の将来性
そもそも介護助手とは
介護の人手不足は深刻で、団塊の世代が全て75歳以上となることから、2025年には、約38万人の介護人材が不足すると見込まれております。
そのため、政府も介護人員確保にむけて様々な施策を講じている現状です。
その様々な施策の1つに「介護助手」の存在があり、新たに「介護助手」職の導入に積極的です。
「介護助手」
介護専門職の助手や補助として働く人のこと。
※資格は必要のない職種。
資格や認定資格を持っている介護士と、介護助手との大きな違いは、身体介護を行うことができるか否かです。
ただ訪問介護以外の介護施設では、無資格の方でも身体介護をおこなえます。
では、介護士と介護助手の区分としては、身体介護をする場合は一般的な介護職員、しない場合は介護助手と分けられます。
掃除やシーツ交換、配膳、部屋の整備などの生活介助は介護助手が担当することで、介護現場で働く人の総数を増やし、介護サービスのレベルも上げようという考え方です。
特養で6割超の配置。その効果とは。
最新の介護助手について、福祉医療機構(WAM)が2024年2月に特別養護老人ホームにおける介護助手の配置状況を報告しました。
(全国の769法人、863施設から回答を得ています。)
この報告によると介護助手を「配置している」と答えた施設は61.3%でした。
これは、前年度より2.5ポイント上昇していることがわかり、全体的に介護助手の制度が浸透しつつあることが分かります。
介護助手導入の効果としは以下のような回答が寄せられました。
業務の量・負担感が「減少した」:72.0%
サービスの質「変わらない」 :53.1%
サービスの質が「向上した」 :38.2%
また、他機関の介護助手導入についてのアンケート結果で、「介護職員の業務量が軽減した」「介護職員が気持ちにゆとりを持って業務ができるようになった」「ご利用者さま一人ひとりに丁寧な介護をできる場面が増えた」などの声も上がっており、介護現場にゆとりが生まれることで丁寧な介護につながっていることがわかります。
介護助手の将来性
現在、介護業界の仕事のほとんどが専門職となっており、資格を持っていない方は介護業界への参入が難しい状況です。
そんな中、介護助手・介護補助は無資格から始められる魅力があります。
介護業界に興味があるけどやっていけるか不安という人でも、まず介護助手からスタートすることで、自分に介護業界が合うのか、確認しつつ着実なステップアップが可能です。
また、各都道府県や自治体では無料の研修が用意されていたり、職場で研修をしてくれたり等、これから始めたい方がチャレンジしやすい点は魅力です。
介護職全体としては増加傾向にあるものの、更なる人材確保が必要な状況です。
2025年問題に対応するために、介護職が担ってきた仕事を、介護助手と分担することで介護の質向上や、現場の負担軽減が期待されています。
介護職の人数を広げることにもつながる、この介護助手の制度が、更に日本全体に広がり、介護の質向上につながるとよいですね。