2024年に介護報酬が改定されたことをご存じですか?
介護保険制度は、2000年に施行されて以来、定期的な見直しが行われています。
定期的な改定の背景には、介護サービスのご利用者さまとなる高齢者の増加と保険料を納める働き手の減少という少子高齢化が関わっています。
そして今回の2024年の介護報酬改定で、「介護保険のご利用者さま負担が増加する」ケースも出てきます。
本記事では介護保険を利用する誰もが関係する可能性のあるご利用者さま負担の増加について解説していきます。
目次
これまでのご利用者さま負担とは
改定後の負担割合は
介護サービスの維持・継続
これまでのご利用者さま負担とは
まず、これまでのご利用者さまの負担金額について説明していきます。
介護保険サービスを利用する場合、利用金額の多くは介護保険でまかなわれています。
自己負担金額は、所得に応じた形で1割・2割・3割のどれかの割合になります。
例えば毎月5万円分の介護保険サービスを利用した場合
1割負担の場合、自己負担金額は5,000円となります。(2割負担なら10,000円、3割負担なら15,000円となります)
この自己負担割合は収入によって決められていて、収入が少なければ1割負担に、収入が高ければ2割~3割負担とされていました。
その介護保険サービスの具体的な自己負担割合は、本人や世帯の所得に応じて決まっていました。
「いました。」と過去形にするのは、今回、2024年の介護報酬改定により、自己負担額が変更になったためです。
その変更点について次に説明します。
改定後の負担割合は
2024年の介護保険法の改正においてはご利用者さまにとっては大変大きな変更点がありました。
それは今後、原則自己負担額が収入に応じたものではなくなることで、介護保険サービス利用時の自己負担額が2割に増えます。
今までは1割が主流の負担額でしたが、改定後はすべてのご利用者さまが均一に2割負担となります。
現在の日本においては、自己負担額が2~3割の層は約10%程度です。
残りの90%のうちの少なくない数の人が、自己負担額2割に分類されるようになると考えられます。
高齢者や現役世代から様々な意見が寄せられており、多くの高齢者は、自己負担額の増加が経済的な負担をさらに重くなったと感じる人が多いのではないでしょうか。
現役世代からは介護保険制度の持続可能性に対する危機感が感じられます。
自己負担額の増加は、将来自分たちが高齢者になった際の負担を考えると避けられない措置と理解しつつも、これ以上の負担増が許容できないとする意見も少なくありません。
介護サービスの維持・継続
自己負担額の増加に注目した介護保険改定ですが、介護保険改定の目的の1つは、制度を持続させることです。
増加する高齢者人口と介護費用の増加に対応するために、今回の改定で介護報酬の見直しや、ご利用者さま負担の範囲を増やすことが行われています。
特に収入に応じた自己負担額の決定や、自己負担割合が統一に変更されたことで、より多くの収入が介護保険制度に還元されることが望まれます。
このような施策が介護サービスの量や質にどんな影響を与えるか、さらなる検証が必要です。
介護職員の待遇改善や、サービスの質の向上、持続可能な制度を支えるために欠かせない状況です。
これから高齢者が増え続ける中、介護保険制度の財政安定と介護サービスの質を両立させる調整が、今後の大きな課題となります。