近年、介護施設などから、要介護状態の高齢者の救急搬送が年々増加しています。
介護の仕事をしていく中で、救急搬送につながるケースに遭遇する人は多いのではないでしょうか。
今回は救急指定病院とは何かを踏まえ、一次救急・二次救急・三次救急の特徴や役割、違いを詳しく解説します。
目次
救急指定病院とは
一次救急・二次救急・三次救急の違い
介護における緊急時の対応と、看護との連携
救急指定病院とは
救急指定病院とは、消防法第二条第九項による「救急病院等を定める省令」によって定められている病院で、都道府県知事の指定を受けた、救急患者の受け入れを行なう病院のことを指します。
どの病院でも実施できるわけではなく下記4つの要件を満たすことが必要です。
①救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
②エックス線装置、心電計、輸血及び輸液のための装備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
③救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
④救急医療を要する傷病者のための専用病床または当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。
救急指定病院では、都道府県ごとに作成される医療計画に基づき3段階の医療体制に分かれています。
この3段階が「一次救急」「二次救急」「三次救急」です。
三次救急にいくほど、傷病者の症状が重く、緊急性も高くなります。
一次救急・二次救急・三次救急の違い
一次救急・二次救急・三次救急の違いは下記のようになっています。
【一次救急】軽症患者の外来診療を行う
自力で来院できる軽症患者や、入院の必要性がなく外来で対応できる患者の診療を外来で行います。
地域の在宅当番医や、市が運営する休日・夜間救急診療所が一次救急に相当します。
【二次救急】入院・手術が必要な重症患者に対応
地域の救急患者の初期診療と、重症患者への入院治療・手術などを行うのが二次救急です。
二次救急の医療機関では、24時間365日体制で救急患者を受け入れる必要があるため、その地域の複数の救急病院と輪番制で当番を担当しています。
【三次救急】もっともハイレベルな救命救急医療を提供
二次救急では対応できない重篤患者や特殊疾患患者を受け入れ、より高度な救命救急医療を行うのが三次救急です。
三次救急医療機関である救命救急センターや高度救命救急センターは、地域の救急患者を最終的に受け入れる、いわば「最後の砦」です。
そのため、生命の危機にある重篤患者をいつでも受け入れられるように、救急医療を専門とする医師・看護師などの医療従事者が24時間体制で働いています。
介護における緊急時の対応と、看護との連携
これまで救急病院の種類や特徴などについて説明しました。
介護の現場では、ご利用者さまの緊急時に立ち会うことがあります。
介護職として、そのようなときどのような対応をすべきなのでしょうか。
大切なことは、日々の業務の中での経験を積み、その状況に応じた判断ができること、医療従事者との連携や必要な情報提供となります。
とくに急変時については、看護スタッフなどとの連携が大切です。
AEDや携帯酸素ボンベ等の必要機材については、どこにあるのかを日頃から把握しておきましょう。
バイタルサインが示す数値についての知識は、医療従事者との連携には必要となります。
緊急時に備え、介護職でも覚えておく必要があるでしょう。
対応については、優先順位というよりは、同時並行して対応が進みます。
夜勤帯などは限られた人数での対応となる場合もありますが、その手順や関わる職員については各事業所内でのマニュアルがあると思いますので、事前に確認をしておきましょう。