24時間日常生活のケアを行う介護の仕事にとって、ヒヤリハットは常に背中合わせです。
介護現場は常に利用者の個別性に配慮した取り組みが必要となり、些細なことがきっかけで事故に繋がってしまうことも少なくありません。
そうした事故を未然に防ぐために、ヒヤリハットを理解しておくことが非常に重要です。
報告書はどのように書いていくことが適切なのか、その記入例も含めて1つ1つ解説していきます。
目次
そもそも、ヒヤリハットとは?
報告書の書き方
よくある事例とまとめ
そもそも、ヒヤリハットとは?
ヒヤリハットとは、介護における「ヒヤリ」「ハッ」とするシチュエーションのことで「重大事故につながらなくても、事故になっていた可能性のある体験・事例」を指します。
ヒヤリハットは実際に何も被害が出ないのでつい見過ごされがちですが、このような危ない出来事が放置され、積み重なっていくことが大きな介護事故につながるのです。
これを法則として提唱したのが統計分析の専門家であるハーバード・ウィリアム・ハインリッヒで、俗にいう「ハインリッヒの法則」とは、「1件の重大な事故の背後には29の軽微な事故があり、さらにその背景に300のヒヤリハットが存在する」というものです。
ヒヤリハットは事故が起こる兆候と考えるため、ヒヤリハットが起こった場合には、報告して施設内で共有し、要因を究明しなければなりません。
逆にいえば、ヒヤリハットを減らすことが、重大な事故の発生を減らすことにつながります。
報告書の書き方
基本的に報告書はどこも同じで、自分以外の人が読んで理解できるような内容にしていかなければなりません。
そして、ヒヤリハット報告書の書き方ですが、まず「いつ」「どこで」「誰が」といった、状況的把握がしっかり出来ていないと、書くのに時間がかかってしまったり、ズレが起きたりします。
ヒヤリハット報告書の書き方の基本ルールとして、ポイントが3点あります。
①事故発生後すぐに書くこと
②全容が把握でき、正確な情報であること
③誰が読んでも理解できること
この3点に気を付けながら、できる限りの事実を客観的に書くようにすることが大切です。
更に、5W1Hを意識した報告書の書き方を目指し、専門用語や難しい言葉は出来るだけ避けるようにしましょう。
そして、「トイレの前で〇〇様が仰向けになって倒れていた」など、客観的な視点で箇条書きや短文で簡潔にまとめた内容にしていくことが大事です。
上記のポイントを押さえ、自分以外の人が読んでもわかるいい報告書が出来るといいですね。
よくある事例とまとめ
では、最後に介護現場で報告されるどのような事例があるのかを挙げていきます。
●食事
・隣の人の食事を食べてしまった事例:重度の認知症があったが、スタッフの目の視野に入るところにいなかったため生じたヒヤリハットでした。
予防策としてスタッフが目に届きやすい席に座っていただいたり、スタッフの隣に座っていただくことが必要だと報告されました。
●入浴
・利用者さまが大浴場で転倒してしまった事例:脱衣所と浴室の床の滑りやすさの確認不足と、流し忘れていた洗剤の泡が床にこぼれていたことが原因で生じたヒヤリハットでした。
予防策として滑り止めマットを敷くなどの対策が必要であると報告されました。
●移動
・段差に車いすが引っかかってしまって転落しそうになった事例:車いすのスピードを出し過ぎていたことと、歩道の段差を確認していなかったことが原因で生じたヒヤリハットでした。
予防策として段差がある場所ではスピードを緩める、歩道の段差を十分に確認していくと報告されました。
このように、介護現場では利用者様が生活をしていく中でいつだれが起こしてもおかしくない事例ばかりです。
100%未然に防ぐことは不可能かもしれませんが、日頃からヒヤリハットの取り組みを職場全体で実施することで、大きな事故を未然に防ぐことはできるのではないでしょうか。