不安定なイメージを抱かれがちな派遣雇用ですが、介護業界では、派遣勤務を選ぶ方が増えています。介護派遣は一長一短。そのメリットとリスクを解説します。
目次
- 【1】介護派遣ってどんなもの?
- 【2】介護派遣のメリット
- 【3】介護派遣を選ぶリスク
- 【4】働き方は将来のビジョンやライフスタイルと相談して考えよう
不安定なイメージを抱かれがちな「派遣」ですが、介護業界では人気の働き方のひとつです。介護業界で派遣として働くと、どんなメリットがあるのでしょうか。介護派遣の実態を解説します。
介護派遣ってどんなもの?
「介護派遣」とは、法人が直接雇用を行う正社員や契約社員、パートとは異なり、介護の人材派遣会社が雇用を行い、施設に介護スタッフを派遣するという雇用形態を指す言葉です。人材不足が叫ばれる介護業界。即戦力となる人材に、必要な時に必要なだけ働いてもらえる派遣という形態は施設にとってもメリットが大きく、ニーズが高まっています。
介護派遣として働くには?
派遣スタッフとして働くには、まず人材派遣会社に登録を行います。面接ではなく「登録会(面談)」というかたちをとっているところが多く、ここで自身の経歴や希望条件(時給、勤務日数、希望の施設形態など)をすり合わせ、条件にマッチした施設を紹介してもらうという仕組みです。その後、施設と面談を行い、双方の条件が折り合えば入職となります。
介護派遣の期間は?
長期派遣スタッフの場合、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月…と一定の期間ごとに契約の更新を行うのが一般的。更新時期が近づくと、人材派遣会社から契約更新の意思があるかどうかの確認が行われ、施設側と介護派遣スタッフ双方とも契約更新を希望すれば、継続して働くこととなります。ただし、派遣社員は法律上、同じ職場で勤められるのは3年以内という決まりがあるため、同じ施設にいられるのは最大で3年です。
また、なかには一日限りの日雇い派遣(単発派遣)や2週間の短期派遣もありますが、夜間勤務の穴埋めとしての求人が多いのが実情です。
人材派遣会社はどう選ぶ?
介護スタッフの派遣を行う人材派遣会社は多く、どこに登録すべきか迷ってしまう方も少なくないのではないでしょうか。とにかく求人数が多い会社や、入職祝い金を用意している会社、入職後のフォローに力を入れている会社など、人材派遣会社はそれぞれウリとなる特徴を持っています。「登録したのにいつまで経ってもマッチングしない」という事態を避けるためにも、複数の人材派遣会社に登録しておくことをおすすめします。
介護派遣のメリット
では、介護派遣として働くメリットにはいったいどんなものがあるでしょうか。
高収入が期待できる
介護派遣という働き方を選ぶ一番のメリットは、なんといっても高収入が期待できるという点ではないでしょうか。地域によって差があるものの、介護派遣であれば「時給1800円以上」「夜勤日給3万5000円」という高待遇の求人を見かけることが少なくありません。パートではあり得ない高収入を得られるのが、介護派遣の大きな魅力です。
ライフスタイルに合わせて働きやすい
休日の少なさや夜間勤務の多さなど、ハードなイメージがある介護職。
ですが、介護派遣であれば「週3日だけ働きたい」「夜勤はしたくない」など、自分のライフスタイルに合わせた条件で職場を探すことができます。
いろいろな施設を経験できる
デイサービスや特別養護老人ホームなど、介護スタッフが活躍できる施設はさまざま。
腰をすえて働くのではなく、「契約期間を終えれば次の施設へ」という介護派遣の特性上、希望すればいろいろな施設を経験できるというのは魅力です。
就職活動の必要がない
「夜勤なしで働きたい!」など、条件によっては難航することが少なくない転職先探し。介護派遣の場合は、条件にマッチした職場を人材派遣会社が探して紹介してくれるため、就職活動の必要がありません。「もうすぐ契約が切れるので次の職場を探しておきたい」といったニーズにもこたえてくれるので、在職中にバタバタと転職活動をしなくて済むというのも人気の理由です。
施設が合わなかったときに辞めやすい
「人員不足でとても退職を言い出せない」と悩む正規職員の方が多い一方で、介護派遣であれば契約更新のタイミングでいつでも辞めることができます。人材派遣会社が間に入ってくれるため、「辞めたいのに辞めさせてくれない」といった退職時のトラブルも避けることができます。
派遣会社によっては研修を受けられることも
派遣会社のなかには、登録者を対象とした研修を実施しているところもあります。
「介護資格を持っているけれど実務経験がない」「ブランクがあって再就職できるか不安」という方は、まず研修のある人材派遣会社に登録して研修を受け、未経験でも入職しやすい職場を紹介してもらうという働き方が可能です。
介護派遣を選ぶリスク
高収入が期待でき、ライフスタイルに合わせた働き方ができるなど、メリットが多い介護派遣ですが、介護派遣という働き方を選ぶリスクもあります。いったいどんなものがあるでしょうか。
責任のあるポジションに就けないためキャリアアップしにくい
たとえフルタイムで勤務する場合であっても、事務所の管理者やユニットリーダーなど、介護派遣で入職した方が責任のあるポジションに就くケースは少なく、あくまで正規職員の補助的な業務が多くなってしまうのは介護派遣を選ぶ大きなデメリットです。
介護職には、責任のあるポジションを任され、管理職へキャリアアップしていかなければ給与があがりにくいという特徴があります。腰をすえて介護業界で働くことを視野にいれるのであれば、介護派遣で働くことがキャリアアップを遅らせてしまうリスクがあることを頭に入れておきたいものです。
派遣切りに合うリスクがある
人員不足から派遣スタッフを採用している施設は多いのですが、正規職員の入職が決まったり、人件費の削減を行わなくてはならなくなった場合、真っ先に切られるのは派遣スタッフです。就労条件がマッチした施設で腰をすえて働くつもりが、わずか1ヵ月で契約を切られてしまう…というケースはけっして少なくありません。
即戦力であることを求められる
介護派遣を採用している施設の多くが、即戦力として働ける人材を求めています。介護派遣の求人のなかには「未経験可」としている施設もありますが、雇用期間に限りのある派遣スタッフを育成するメリットは施設側にはありませんので、原則として求められているのは即戦力です。
経験が少ない場合は「ベテランだと思って期待していたのに…」と落胆されるなど、嫌な思いをすることもあるようです。即戦力として働く自信がない場合は、派遣登録時にきちんと「経験が浅くても働きやすい施設」という希望を出しておくことが大切です。
働き方は将来のビジョンやライフスタイルと相談して考えよう
高収入が期待でき、プライベートの時間をしっかり確保できる介護派遣。
正規職員として地道にキャリアアップをしていく道とは異なりますが、それぞれに違った魅力があります。転職を考える場合は、介護派遣という働き方もあることを頭にいれておきましょう。