介護福祉士の勤務先には、高齢者施設やデイサービスなどの現場業務がイメージされますが、教員として専門学校などで働く道もあります。そこで今回はどのようにしたら介護教員になれるのか、まとめていきたいと思います。
目次
- 【1】介護教員とは!?
- 1.介護教員を目指す理由
- 【2】介護福祉士養成校の教員になるには?
- 1.養成校の教員になるには?
- 2.専任教員以外の働き方
- 【3】研修講師や教員になるには?
- 1. 実務者研修講師
- 2. 介護初任者研修講師
- 3. 福祉系高校の教員
- 【4】参加が求められる講習会ってどんなもの?
- 1.介護教員講習会
- 2.実務者研修教員講習会
介護教員とは!?
介護福祉士には、高齢者施設で利用者を相手に介護業務を行なう人もいれば、介護福祉士養成校で教員として、未来の介護福祉士を育てる人もいます。
介護教員とは、福祉系の科目を専門的に学ぶ学生を教える教員です。教員として、学生を教える場は3つあります。
- 介護福祉士養成校の教員
- ②実務者研修や介護職員初任者研修の講師
- ③福祉系高校の教員
です。
介護教員を目指す理由
介護士が現場を離れ、介護教員を目指す理由として現場でいくら経験を積んでも、給料が安いといった金銭面での悩みや現場業務で腰痛をわずらい、現場業務はもうできないといった理由が挙げられます。また、結婚などを機に子育ての関係で夜勤ができなくなった人が日中だけの業務で済む教員を志すというケースもあります。
給与でいうと、介護福祉士の平均年収は310万円に対して、養成校の教員は約400万円と90万円の差があるなど、養成校の教員の方が高い給与をもらっているのが現状です。
ただ、こちらは介護福祉士の場合であり実務者研修や初任者研修の資格しかない介護教員は高齢者施設勤務の介護士と変わらないか、やや高いといった値になっています。
福祉系高校の教員となると、高校教員と給与は同じであるため、年収は跳ね上がります。都道府県によっても異なってきますが、東京都の高校教員の平均年収は747万円となっています。
介護職員の道は大きく3つありますが、それぞれ要件は異なってきますので確認していきましょう。
介護福祉士養成校の教員になるには?
介護教員と聞いた時、介護系専門学校での教員が思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
介護士の養成学校は、生徒に対し一定数の教員を配置しなければならないため一定数の求人があります。
専任教員として介護福祉士養成校で勤務すると、福祉系の科目を教える以外に学校に常勤し、学生の生活面での相談、進路指導なども業務の一環として入ります。
介護教員という言い方もしますが、一般的な高校の先生とそこまで変わりない業務となっています。
養成校の教員になるには?
教員になるには、明確な規定があります。社会福祉士介護福祉士養成施設規定の中に以下の3つの条件のどれかに該当すれば教員として働くことが可能と明記されています。
1、介護福祉士、医師、保健師、助産師、看護師又は社会福祉士の資格を取得した後、5年以上の実務経験を有する者
2、大学院、大学、短期大学又は高等専門学校において、教授、准教授、助教授又は講師として、その担当する教育に関し教授する資格を有する者
3、専修学校の専門課程の教員として、その担当する教育に関し3年以上の経験を有する者
介護福祉士から教員となる上で、多くの人が該当しやすいのが一番上の資格取得後に5年以上の実務経験を有する者だと思います。注意すべきなのが、5年の現場経験が必須ということです。
福祉の理論は教えることができても、介護の実技科目は経験者でなければ教えることは難しいです。そのため、実践的に介護を経験した人がより本番で使える介護技術を教えることができるという定義からこちらを取得します。
専任教員以外の働き方
介護教員は常勤として働く専任教員以外にも非常勤として働くことが可能です。
実際に高齢者施設で普段は働き、週一回アルバイトとして養成校の教員をしている人もいます。こういったアルバイトで教員を行なう人を一般教員と呼んでいます。
一般教員は専任教員のような条件を満たす必要はなく、5年以上の現場経験は必要ありません。ただ、何かしらの介護経験がないと学校では教えることができませんから、3年以上の現場経験は必須などといった条件が求人に明記されていることも多いです。
研修講師や教員になるには?
実務者研修講師
介護福祉士になるために必須の実務者研修の講師になるためには、介護福祉士として実務経験が5年以上ある必要があり、現場経験者しか採用されません。
また、実務者研修教育講習会を修了していることも条件となっています。
介護初任者研修講師
未経験で介護士となった人がまず取得する介護初任者研修の講師になるには、実務者講師と同じく、介護福祉士として実務経験を5年以上求められます。
なお、研修内容に「障がいの理解」という科目がありますが、障がい福祉サービスで3年以上の実務経験がないと講師としてこの科目を教えることは不可能となっています。
福祉系高校の教員
福祉系高校には、介護福祉士を配置しなければならないという取り決めがあり、必ず介護教員の需要があります。
介護教員になるためには、2つの道があります。
・介護福祉士取得後、5年以上の実務経験を有する者
・介護福祉士の資格を有し、基準を満たす研修を修了した者
一つ目の実務経験5年以上は条件を満たしやすいですが、2つ目は、高等学校の福祉の教員免許を所持しており、さらに現役教員という者にしか該当しないため、ハードルが高いものになります。
参加が求められる講習会ってどんなもの?
教員や講師となるためには介護福祉士として5年以上の経験に加えて、講習会への参加というものがあります。講習会への参加は必須ではないのですが、参加しておいた方が有利ということはできます。以下に講習会の内容をまとめていきます。
介護教員講習会
養成校で教員をやるためにはこの講習会に参加することになります。基本的には修了していることが好ましいと考えられています。
具体的なカリキュラムは、心理学をはじめとした基礎分野が60時間以上、教育学や教育心理の専門基礎分野が90時間以上、介護福祉学や介護教育方法の専門分野が150時間と合計300時間以上の講習となります。
科目は全部で13科目あり、参加費は240,000円となっています。
実務者研修教員講習会
こちらも受講には介護福祉士5年以上の経験が必要です。
カリキュラムは、介護教育方法、介護過程の展開方法、実務者研修の目的等50時間の講習となっています。7~8日間で行われています。
費用は開催している事業者によって異なっていますが、概ね70,000~100,000円となっているようです。
学生は、知識だけでなく現場の技術や実際に働いた時の感覚を求めていることが多いため、現場で多くの経験をしていなければ学生に教えることができません。そのため、教員という言葉から座学が中心と思われがちですが現場での感覚が大きく求められます。
5年の現場経験は必須ですが、加えて講習会にも多くの時間を出さなければならないため、働きながら教員を目指す場合は、計画的なプランと経済的な面をクリアしなければなりません。
まずは、介護教員になるための青写真を作ってみましょう。