『手話通訳士』という資格を聞いたことがありますか?
『手話通訳士』は『手話』を用いて、聴覚障害者と健常者とのコミュニケーションがスムーズに成り立つように『通訳』をするお仕事で、ここ数年でニーズが高まっている資格のひとつです。
手話通訳士に向いている人、受験資格や合格率、活躍の場所など、手話通訳士について具体的に知っておきましょう。
目次
- 【1】 手話通訳士とは?
- 【2】手話通訳士はこんな人におすすめ
- 【3】手話通訳士は平成元年から始まった公的資格
- 【4】手話通訳士の試験内容とは?
- 【5】手話通訳士の受験資格とは?
- 【6】学校で専門知識を学ぶと資格取得がよりスムーズに
- 【7】 手話通訳士のお給料はどれくらい?
- 【8】手話通訳士の資格を取ることで給料の加算も
- 【9】 手話通訳士の活躍の場所は?
- 【10】手話通訳士は今後ニーズの高い資格の1つ
手話通訳士とは?
『手話』は世界共通の言語であり、聴覚障害を持つ人が自分の意思や感情を伝える手段として欠かすことができないコミュニケーションツールです。
『手話』ができない健常者に代わって『手話』を用いて言語障害や聴覚障害がある人と健常者とのコミュニケーションをスムーズに図れるようにサポートするのが『手話通訳士』のお仕事です。
手話通訳士はこんな人におすすめ
手話通訳士は、手話を仕事にスペシャリストとして活躍したい人におすすめの資格です。
受験者は20代~60代までと幅広く、特に多いのは40~50代の女性です。
聴覚障害のある子供に関わる人や、障碍者施設で働く人にとっては、この資格があるとないでは大きな違いが出てきます。
病院の診療や銀行での手続きなど、あらゆる場面で聴覚障害者が健常者と同じようにサービスを受け、不利益をこうむらないようにサポートする役割を担っています。
手話通訳士は平成元年から始まった公的資格
手話通訳士は国家資格ではなく公的資格です。
手話通訳士になるための手話通訳技能認定試験は、厚生労働省が認定し、1989年から始まりました。
手話通訳士は、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターが実施する手話通訳技能認定試験に合格し、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに登録することで名乗ることができる名称独占の資格となっています。
名称独占の資格なので、『手話通訳士』の資格を取らずに、手話を用いて聴覚障害者と健常者のコミュニケーションの通訳をしている人もいます。
『手話』の資格として、『手話通訳士』の資格以外に『手話通訳者』や『手話奉仕員』などもありますが、政見放送や裁判などの手話通訳は、『手話通訳士』の資格を持つ人だけができる業務となっています。
手話通訳士の試験内容とは?
手話通訳技能認定試験に合格し、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに登録することで、手話通訳士を名乗れるようになります。
手話通訳技能認定試験は学科試験と実技試験とから構成されています。
学科試験は、障害者に関する法律をはじめ、福祉、手話など、幅広い知識が問われる内容となっています。
通訳する内容を正確に把握し、的確に伝える必要があるため、国語力が必要となります。
実技試験では、聞き取り通訳と読み取り通訳を行います。
手話での表現力や、通訳の滑らかさ・速さといった点が評価されます。
第28回の試験では、無料法律相談コーナーでの通訳といった実際のシーンを想定した問題が出題されるなど、実務に沿った内容が出題されています。
手話通訳士の合格率は約20%
『手話通訳士』になるための手話通訳技能認定試験の合格率は約20%です。
難関資格となっていて、現在、『手話通訳士』の資格を持つ人は全国に3,000名程度とされています。
手話通訳士の受験資格とは?
『手話通訳士』の試験を受けるために必要とされる資格は「20歳以上であること」で、学歴などは関係ありません。
そのため、独学で『手話通訳士』の資格を取得することも可能となっています。
ただし、合格するためには幅広い知識やスキルが必要となるので、3年程度の経験があることが目安とされています。
学校で専門知識を学ぶと資格取得がよりスムーズに
『手話通訳士』の資格を取るためには、福祉系の学科がある大学や短期大学、手話通訳のコースがある専門学校で手話を学ぶのがオススメです。
大学や短期大学、専門学校に進学することで、手話を学ぶことはもちろん、福祉に関する知識を学ぶことができます。
仕事をしているなどの理由で大学や専門学校に通う時間を確保するのが難しいという方には通信講座で学ぶという方法もあります。
DVDなど、映像で学ぶことができる教材もあるので、自分の都合のいい時間に学習したいという方は検討されてみるといいですよ。
手話通訳士のお給料はどれくらい?
『手話通訳士』を本業として生活をしている人は少なく、ほとんどの人が市役所などの役所や社会福祉法人・社会福祉協議会などで勤務しています。
市役所の職員として勤務している場合、330万円から470万円、社会福祉法人に勤務している場合270万円から350万円、社会福祉協議会に勤務している場合260万円から340万円程度の年収があるようです。
福祉関連施設で嘱託職員として働く場合、時給は1,000円から1,500円ほどとなっており、契約社員として働く場合は、月給15万円から18万円程度の給料が相場となっています。
手話通訳派遣センター等に登録して働く場合は、手話通訳にかかった時間に応じて給料が支払われるシステムになっています。首都圏を例として挙げると、最初の1時間は5,000円から6,000円、それ以降は1時間ごとに料金を加算していく仕組みになっています。
手話通訳士の資格を取ることで給料の加算も
社会福祉士や介護福祉士などの国家資格を持っている人が『手話通訳士』の資格を取得した場合、給料に加算されたり、常勤として採用されやすくなるなどのメリットもあるようです。
これまで、「手話通訳士の仕事で生計を立てるのは難しい」とされてきましたが、活躍する場面が増え、ニーズも高くなってきている今、専門性を磨くことでフリーランスとして活躍できる人も増えてきています。
手話通訳士の活躍の場所は?
『手話通訳士』の資格を取得した場合、都道府県庁・市町村役場の福祉課といった公的な機関や障害者養護施設等の福祉施設で働く人をはじめ、裁判所や警察、病院、銀行、民間のボランティア団体等、さまざまなところで活躍することができます。
行政や民間の手話通訳派遣センターに登録して、仕事の依頼を受けた都度、『手話通訳士』として仕事をする人もいますが、『手話通訳士』としてだけでなく、他の業務と兼任して働いている人が多くいます。
手話通訳士は今後ニーズの高い資格の1つ
手話を用いて聴覚障害者が円滑にコミュニケーションを図ることができるように手助けをする『手話通訳士』。
2016年に障がい者差別解消法が施行されるなど、障害があっても暮らしやすい社会をつくる取り組みが広まっています。その1つとして挙げられるのが「手話言語条例」です。
この法令も、手話を広めることによって聴覚障害者が暮らしやすい環境を整えることが目的となっています。
聴覚障害者のコミュニケーションにおいて、大きな役割を果たす『手話通訳士』は、今後ますますニーズが高くなることが予想されています。
参考サイト:https://shingakunet.com/bunnya/w0032/x0417/
http://careergarden.jp/shuwatsuuyakushi/salary/
http://school.js88.com/catalog/naruniwa/guide?job=1126