高齢者にとっての食事は、ただ栄養をとるだけのものではなく、大切な生きがいのひとつです。
介護施設で需要が高まる「管理栄養士」の資格と仕事について解説します。
目次
- 介護施設でニーズ急増中。管理栄養士ってどんな仕事?
- 管理栄養士になるには?
- 利用者の生きがいをつくる。やりがいの大きい仕事です
高齢者の方にとって、食事は大切な生きがいのひとつです。
介護施設では、利用者の方の状況に応じて、食べやすいように調理された「ミキサー食」や「ソフト食」の提供が行われていますが、食事が生きがいにつながるよう、栄養バランスはもちろん、味や彩り、季節の食材選びなど、さまざまな工夫がこらされています。
高齢者の生きがいを担うプロフェッショナル、介護施設で働く管理栄養士の仕事や資格についてご紹介します。
介護施設でニーズ急増中。管理栄養士ってどんな仕事?
管理栄養士は、食と栄養のプロフェッショナル。
医師と連携して病気の方へ栄養指導を行ったり、介護施設などで利用者の方の状況に合わせた献立を提案したり、子どもたちの食育に携わったり…と、その役割は多岐にわたります。
栄養士が「調理」に特化した業務に就くことが多い一方で、献立を考えたり、栄養指導を行ったり…と「管理」に特化した業務が多いのが管理栄養士の特徴です。
介護施設や病院などでニーズが高まる専門職
規模が大きく、一度にたくさんの方へ食事の提供を行う施設などでは、配置が義務付けられている管理栄養士。
たとえば病院の場合、1回300食または1日750食以上の食事の提供がある施設では、管理栄養士を必ず配置しなければならないと定められています。
特別養護老人ホームなどの社会福祉施設の場合、継続的に1回 500食以上又は1日1500食以上の食事を提供する施設に配置が義務付けられていますが、近年では、必置義務のない施設であっても、管理栄養士を配置するケースが増えています。
介護施設で働く管理栄養士の仕事
施設を利用する高齢者の方々にとって有意義なものであるよう、さまざまな視点で利用者の方の食を管理するのが、介護施設で働く管理栄養士の仕事です。
利用者の方の体の状態に合わせた食事を提案したり、旬の食材を使った料理や、イベントに合わせた料理を考案し、生きがいづくりのお手伝いをしたり…と、その仕事内容はさまざま。
利用者の方の誕生日やクリスマスにケーキを準備したり、お花見のときにはお弁当を用意したり…と、介護チームの一員としてイベントの運営に携わる機会が多いため、イベントの企画が得意な方には非常に向いている職業といえます。
また、医師や看護師、介護士などと連携し、利用者の方の栄養管理計画をたてるのも管理栄養士の仕事です。
管理栄養士になるには?
管理栄養士は国家資格。受験には次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 4年制の専門学校や大学で管理栄養士養成課程を修了する
- 4年制の専門学校や大学を卒業後、実務経験を1年以上積む
- 3年制の専門学校 を卒業後、実務経験を2年以上積む
- 2年制の専門学校・短大 を卒業後、 実務経験3年以上積む
2~4のルートは、学校を卒業後に栄養士の資格を取得し、その後、所定の期間、栄養士として実務経験を積むことで管理栄養士の受験資格を得ることができるというものです。
1のルートであれば、管理栄養士養成施設(大学・4年制専門学校)を卒業すれば実務経験なしで管理栄養士の国家試験を受験することができるため、最短ルートで受験資格を得ることが可能です。
利用者の生きがいをつくる。やりがいの大きい仕事です
介護施設で働く管理栄養士は、利用者の方一人ひとりの体の状態をきちんと把握し、栄養のある食事をプロデュースしなければならない大変な仕事です。
配置する管理栄養士は1名のみという施設は多く、責任と負担が重くのしかかることもあります。
ですがその一方で、利用者の方が食事を通じて笑顔になったり、栄養状態の改善が見られたり…と、やりがいにつながる場面も多いようです。
生活の質の向上に力を入れる介護施設が増えるなか、食事の質をアップさせる管理栄養士のニーズは今後ますます高まっていきます。
高齢者の生きがいをつくる、責任もやりがいも大きな仕事です。