福祉・介護業界では国が定められている「人員配置基準」があります。
そのため介護施設の担当者は、必ずこの基準に沿った人員配置を行わなければいけません。
福祉・介護業界における定めである「人員配置基準」についてポイントを押さえて説明していきます。
目次
・配置基準とは
・具体的な緩和の条件と今後について
配置基準とは
介護の人員配置基準とは、介護保険法で定められた介護施設における人員体制のことです。
介護施設では、施設ごとに入居者数に対して必要な配置人数が設定されています。
その理由としては、スタッフが連携し、質の高い介護サービスを提供するためと考えられます。
特に入居施設の特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームでは、人員配置基準を常勤換算で「3対1」と定めています。
この「3対1」はご利用者さま3人に対して1人の介護職員または看護職員を配置しなければならないという意味になります。
※人員配置基準は、施設の規模や種類によって異なります。
※人員配置基準の条件である「常勤換算」の計算方法
→ 非常勤スタッフの総労働時間 ÷ 常勤スタッフが1か月に労働すべき時間
人員配置基準の人数が足りなく、厳しい状態で運営している施設などでは、職員の急な退職などにより基準に満たさないといったケースもあるでしょう。
人員配置基準に満たない場合は事業所の指定取り消し、または効力の停止処分などがされる場合もあり、早急な改善が求められます。
もちろん、緊急事態として一時的に基準を満たさない場合は、例外として取り扱われるケースもあります。
前述の通り、最適な人員体制により、介護の質を担保するための仕組みですが、この仕組みが今回緩和されることが認められています。
具体的な緩和の条件と今後について
2024年度介護報酬改定に向けての各サービスの運営基準の見直しに伴い、介護人員基準による具体的な動きがみられています。
生産性向上の先進的な取り組みを進めている介護付き施設に限り、「3対1」の介護人員基準を緩和できる新たなルールが作られました。
高齢者の急増と、現役世代の急減が同時並行で進んでいます。
今後も、各サービス提供の現場(特定施設など)を維持していくことが目的で、より効率的な体制への転換や限られた人材の有効活用をしていくことで介護職員の負担軽減などにつなげる狙いがあります。
厚労省はサービス提供の質や利用者の安全を守るために多くの要件を課しました。
先進的な介護付きホームに人員配置基準の緩和を認める要件の概要は下記の通りになっています。
・人員配置基準の緩和を、一定の条件の下で適用することを指定権者へ届け出て、一定期間ごとに状況報告を行う。
・利用者の安全やサービスの質の確保、職員の負担軽減などを検討する、委員会の設置を必ず行う。
・国の指針と統一的な様式に沿って生産性向上の取り組みを試行し、サービスの質の確保や職員の負担軽減などができたことをデータで確認する。
・見守り機器やインカム、介護記録ソフト、スマートフォン等の他、連絡調整や記録作成の効率化ツールなどを導入し、ガイドラインに基づいた業務改善を行う事。
上記の通り、テクノロジーのフル活用やその成果の事前確認など、一定の条件を満たし、指定権者への届け出をクリアした場合、「3対0.9」など員配置基準の緩和が認められます。
現実の介護現場の実情に対し、人員の確保は各事業者が抱える一番大きな問題となっています。
こうした改善を積み重ねる事により、今後更なる業務負担軽減や、それに伴う現場の配置基準を柔軟に変えていくことが求められるでしょう。