家族の介護の際に取得することができる“介護休業制度”と“介護休暇制度”。
似たような名称ですが、それぞれの制度には手続きや休むことができる期間など、さまざまな違いがあります。
どのような制度なのか、違いも含めて詳しくご紹介します。
目次
- 介護休業制度とは?
- 介護休暇制度とは?
- 介護休業制度と介護休暇制度の違いを活かしてうまく利用しよう!
「家族の介護をしないといけなくなって、仕事と両立していくのが難しい…」そんなとき、介護のために休みを取得することができる制度として“介護休業制度”と“介護休暇制度”があります。どちらも似たような名前ですが、いったいどのような制度なのでしょうか?それぞれの制度の内容や違いについて、詳しく見ていきましょう!
介護休業制度とは?
介護休業制度とは、厚生労働省が育児介護休業法で認めている制度で、労働者が介護を必要とする家族を介護するために休みを取得することができる制度のこと。
対象者1人に付き3回、通算93日まで休みをとることができます。
この制度における“家族”とは、“事実婚を含む配偶者や父母・子供・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹及び孫”を指し、“介護が必要な状態”とは、“負傷・疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態”と定義されています。
介護休業制度の対象者は?
介護休業制度の対象となる労働者は、
◆日々雇用を除く労働者
◆労使協定により対象外にできる労働者
・入社1年目未満の労働者
・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
◆有期契約労働者は、申出時点で下記の要件を満たす者
・入社1年以上
・介護休業予定開始日から起算して93日を経過する日から6か月経過する日までに労働契約期間が満了し、引き続き雇用されると見込まれる者
とされています。正社員はもちろん、パートやアルバイト・派遣社員や契約社員も対象となります。
手続き方法は?
介護休業制度を利用したい場合、休業開始予定日の2週間前までに書面で申し出ることが必要となります。
ただし、事業主が適当と認める場合には、ファックスや電子メール等での申出でも可能とされています。
事業主は、証明書類の提出を求めることができるほか、 介護休業申出を受けた旨、介護休業開始予定日及び介護休業終了予定日、介護休業申出を拒む場合、その旨やその理由を書面またはファックス・電子メール等で通知することとなります。
介護休業制度を申請した後、予定を繰り下げることや、休業の申出の撤回も可能となっていますが、「申出をする期限は予定日の2週間前まで」「同じ対象家族について2回連続撤回したらそれ以降の申出は事業者側が拒むことができる」など、細かに条件が定められています。
(参考サイト:厚生労働省育児・介護休業制度ガイドブック)
介護休業制度を利用している間の賃金は?
介護休業制度を利用する場合、「介護休業給付金制度」を申請することができます。
ただし、介護休業給付金制度の対象者は、介護休業開始日前の2年間に、賃金支払いの基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上ある方とするなど、申請するのにあたって一定の条件があります。
また、介護休業給付金の支給申請書は、休業終了日の翌日から2カ月を経過する日が属する月の末日までに、事業主が所轄の公共職業安定所に『雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書』と共に提出する必要があります。
支給額は『休業開始時の賃金日額×支給日数×67%』となっていて、支給日数は介護休業開始日から30日ごとに区切り、それぞれの期間ごとに算定されます。
(※)介護休業中に会社から賃金が支給される場合、その額によって介護休業給付金の支給額が減額される場合もあります。
(※参考サイト:ハローワークインターネットサービス)
介護休暇制度とは?
介護休暇制度とは、厚生労働省が育児介護休業法で認めている制度で、労働者が介護を必要とする家族を介護するため、または、買い物や通院等の付き添い、介護サービスを受けるために必要な事務手続きの代行などといった直接的・間接的な介護をするための休みを取得することができる制度のこと。
対象者1人に付き、1年に通算して5日まで休みをとることができ、対象者が2名以上の場合、最大10日まで休むことができます。
介護休暇は半日単位でとることができるため、介護が必要な時間に合わせて休みを取りやすくなっています。
『育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』によって、事業主は介護休暇申請を拒否することはできず、介護休暇を取得することによって解雇することもできないと定められています。
この制度における“家族”とは、“事実婚を含む配偶者や父母・子供・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹及び孫”を指し、“介護が必要な状態”とは、“負傷・疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態”と定義されています。
介護休暇制度の対象者は?介護休暇制度の対象となる労働者は、入社後6ヵ月以上の日々雇用を除く労働者とされています。
ただし、労使協定により対象外にできる労働者・入社6ヵ月未満の労働者・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者・介護休暇申請後3か月以内に雇用が終了する労働者は介護休暇の取得の対象者から除外される可能性があるので、注意が必要です。
介護休暇制度は、介護休業制度の場合と同じく、正社員の他、パートやアルバイト・派遣社員や契約社員も対象となります。
手続き方法は?
介護休暇は、事業主が定めた申請書を提出または口頭により取得可能となっています。
申込期限も決められていないので、当日電話で申し出ることもできます。
事業所によっては、医師の診断書を提出する必要がある場合もあるようです。
介護休暇制度を利用している間の賃金は?
介護休暇中は、賃金の支払いに関して法的な義務はないとされています。
そのため、支給してもらえるかどうかは各企業の判断によって異なり、介護休暇中は無給となる可能性も。
ほとんどの場合、有給休暇として処理することが多いようです。
介護休業制度と介護休暇制度の違いを活かしてうまく利用しよう!
“家族の介護”というと、働き盛りで部長や課長・職場のリーダーといったポジションに付いている40~50代の世代が対象となる場合が多くあります。
介護はいつまで続くか先が見えないものであるため、精神的に、また収入面において不安を抱く方も多くいますが、介護休業制度や介護休暇制度を利用することで仕事との両立を図ることができるので、家族の介護を理由に離職することを避けることができます。
書類等の手続きの代行や病院の通院の付き添いなど、短時間で済む用事の時には、半日から休みを取ることができる介護休暇制度を、まとまった期間休業することが必要な時には介護休業制度を…といったように、それぞれの制度の違いをうまく利用することで、介護を乗り切ることができるかもしれません。
離職するかどうか悩んでしまうその前に、まずは制度の利用を検討しましょう。